マガ9備忘録

2月19日に国会内で開かれた民主、共産、維新、社民、生活の5野党党首会談で、今夏の参院選や国会対応についてできる限り協力していく方針を確認した、と報じられた。翌20日の社民党大会では5野党幹部が壇上で手をつなぎ、連携をアピール。23日には幹事長・書記局長による協議が始まるなど、野党共闘の進展は目覚ましい。

ここにいたるまで、さまざまな人々が野党共闘のために声を上げ、問題をすり合わせ努力してきた。妥協したり譲歩したりという身を切った部分も多いだろう。それだけに、この共闘を効果的に生かして今夏の参議院選挙を迎えたい。

この選挙で自公が勝てば、安倍首相はいよいよ改憲に着手するだろうと言われている。その野望をくじくためにどうしたらいいか。立命館大学教授・松尾匡さんの新著『この経済政策が民主主義を救う』(大月書店)を読んで、野党が安倍政権に勝つためには、思い切った経済政策が必要であることを痛感した。副題は「安倍政権に勝てる対案」。

この本にはこのようなくだりがある。

どうも安倍さんを倒したい側の人たちの間には、人々がいい景気を望むことを、おカネをどこまでも欲しがることのような、何か価値の低い、ぜいたくな欲望のようにみなしているきらいが感じられるのですが、もしそのような認識があるならば、改めなければなりません。(p61)

ちょっとどきっとした。私にもそういうふうに考えてしまうところがあったからだ。確かに、リベラルに与する人は、戦争法反対、民主主義を守れという問題と、景気回復への経済問題との“食いつき”に差があると私も思う。

しかし世論調査を行なえば、人々の求める争点は「景気・雇用」と「福祉」が上位を占める。安倍政権の抱える問題を一つひとつ聞いていくと、集団的自衛権も原発再稼働も反対が多いのに、政権自体の支持率が落ちないのは、不況を恐れる世論をしっかりつかんでいるからだ。

その安倍政権を超えるくらいの経済政策を実施するように松尾さんは提言する。「安倍よりもっと好況にする!」を言わなくては野党は勝てない、と手厳しいが、その通りだろう。

「左翼」というものは、搾取され虐げられた民衆のためにある勢力だということを忘れてはいけません。新自由主義の緊縮政策に苦しめられてきた民衆が望んでいるのは、政府が民衆のために潤沢におカネを使い、まっとうな雇用をつくりだすことです。その資金は、おカネのあるところから取ればいいし、それでも足りなければ無からつくればいい! それが今、左翼の世界標準(英国労働党のJ・コービン党首、EUの共産党などの集まりである欧州左翼党、スペインのポデモス、米国のB・サンダース氏など=引用者註)として熱狂的に支持されている政策なのです。(p10)

野党共闘の器はできた。その器に注ぐ中身=政策の策定は急務だ。

(中津十三)

 

  

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その121)野党結集の次の一手を指南する
『この経済政策が民主主義を救う』
」 に2件のコメント

  1. 民主と維新が合併して、一強多弱の「お前ら黙って俺様に従え」状態で野党共闘と言えるのか、大いに問題!さらに一強民主のバックが連合だとすると、まず憲法改正反対を前面に押し出すかたちで、もう1本の柱の反原発は闇に葬られそうだし、参院選終わったら代案持って嬉々として憲法改正論議に参加しそうだし、この共闘は市民団体と共産党の目指す方向と全然違う方向に行ってしまうんじゃないですか。

  2. タークラター より:

    与党から「野合」と揶揄されるような共闘ではなく、与党に「恐怖」をあたえる野党結集が必要だよね。

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