今年2015年を振り返ると、どうしても外せないのが、安保関連法すなわち戦争法制に反対して日本全国で行なわれた「闘争」だろう。筆者も、国会前や地方公聴会が開かれた横浜などへ、何度も足を運んだ。
こうしたデモや抗議の様子を、SEALDsのメンバーである女子学生がカメラにおさめた写真展が、東京・京橋の「ギャラリイK」で開かれている。
撮影したのは、日本大学芸術学部写真学科の植田千晶さん。私も、「闘争」に参加した瞬間が甦る。いや、参加していなくてもその瞬間が立ち上がるほどの迫力に、その写真は満ちている。
彼女の写真は鮮烈だ。参加していたSEALDsの若者の喜び、悲しみ、怒りなどの一瞬が切り取られる。見ているうちに、写真の中の彼らと同化する。
参加している彼らが一見楽しそうに見える写真もあるので誤解されるかもしれない。しかし、悲愴感からは何も生まれないことを知っているからこその明るさなのだろう。
日々のニュースを見ていると、社会の「底」が抜けたようなひどい状況だが、そんな絶望的状況ではあっても、若者たちは明るく、したたかに抵抗し続ける。
年末に勇気をもらえる写真展だった。
(中津十三)
※ 「植田千晶“2015”」は、東京・京橋「ギャラリイK」で12月26日まで。11時30分~19時(26日は17時まで)。入場無料。