マガ9備忘録

風雲急を告げる辺野古情勢。10月29日午前8時、沖縄防衛局は新基地建設埋め立て本体工事に着手したと伝えられた。キャンプシュワブゲート前や海上では警官隊・海保との攻防もあり、翁長雄志沖縄県知事は「強権極まる」と国を批判して、11月2日に国地方係争処理委員会に審査を申し立てた。

 ※ 本体工事着手はフェイクで、まだ始まっておらず反対の意気を殺ぐためだという見方もあるようだ。

筆者は、今月1日の日曜日、現地のゲート前テント村に足を運んだ。この日は工事作業はなく、比較的のんびりした空気が流れていた。独特の振動音の方向を見るとオスプレイが飛んでいる。

テント村のリーダーが、海外からの見学者を紹介し、スピーチしてもらう。シンガポールやカナダなどの研究者・教員で、大浦湾の環境破壊に反対すると通訳付きでスピーチした。

昼食後、ゲート正門前で抗議行動。わっしょい行進、シュプレヒコールなど、確かに“様式化”しているかもしれないが、対峙する相手へのアピールは欠かせない。

現地に行って、この辺野古の運動は本当に凄い、と実感した。

街からバスを運行し、誰でも一人からでも参加しやすくして、日差しや風雨を遮るテントを完備。基地問題のパネルや文庫を設置している。トイレやコンビニに向かう送迎車もある。水やお茶、シークァーサーも「ご自由に」と置いてあった。

一般の人が参加しやすいようにあらゆることがなされている。運動への垣根を低くする努力といえば、安保法制抗議のための国会前デモでの給水所の設置や医師、弁護士の常駐も記憶に新しい。

実際に参加する重要性は、同じ1日付の東京新聞特報面「本音のコラム」で、山口二郎法政大学教授が「民主党では、国会前のデモに参加して市民の思いに触れた政治家と、そうでない政治家の分離現象が起こっている」と指摘した。

実際に辺野古の現地に足を運ぶ人を増やし、現状を理解してもらい、さらにその輪を広げることが、運動の人員の強化につながることは言うまでもない。

また、那覇市の沖縄国際平和研究所に隣接されている「沖縄戦・ホロコースト写真展示館」や、対馬丸事件を後世に伝える「対馬丸記念館」小欄でも紹介した「不屈館」、さらには各自治体の博物館や資料館で、史実を伝える努力が続いている。

これからさらに政府は弾圧姿勢を強め、辺野古新基地建設反対運動にとって厳しくなることは間違いない。

しかしそれに対し、先述の史実を伝える絶え間ない努力に加えて、新基地建設への怒りと参加しやすくする努力が平行するような「しなやかさ」がある限り、この運動は決してくじけることはないだろう。

(中津十三)

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数ある中で印象的だった「脱植民地」の幟。

 

  

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