この15日、参議院の安全保障関連法案に関する中央公聴会で「公述人」として議場に立ったSEALDsの奥田愛基さんの意見表明は素晴らしく、ネット上では賞賛の声が多く寄せられた。しかし残念なのは、この公聴会を含め安保法案にかかわる国会中継などが、事ここに至ってもNHKできちんと放送されないことだ。
13日に放送されたNHKの特別番組「緊急生討論 10党に問う どうする安保法案採決」では、山本太郎参議院議員(生活の党と山本太郎となかまたち)が、安保関連法案の採決を生中継するよう強く求めていた。
確かに衆議院特別委員会での強行採決の模様は中継したが、その午前中に安倍晋三首相が出席した行われた総括質疑を生中継することはなかった。山本議員はNHKに、公共放送という立ち位置を捨てるな、と言いたいのだろう。
7月20日付毎日新聞に、NHKが国会中継を放送しない理由が載っていたが、言い訳にしか思えない。
確かに公共放送であるから、国会中継のほかにも災害情報など放送しなくてはならないことが、たくさんあることは分かる。そうしたときに思い返すのは、何のために巨費を投じて「地上デジタル(地デジ)化」を推し進めたのか、ということだ。
この地デジ化によって、NHKに限らず地上波テレビ放送局は、複数のチャンネル分を放送できるマルチチャンネルが可能になった。TOKYO MXや放送大学はこの利点を活用しており、NHKでも野球中継が延びた場合などに、メインのチャンネルで番組表通りに放送し、サブチャンネルでは延長されている野球を放送したことがある。
しかし小欄でも指摘したとおり、昨年2月の関東甲信地域を中心とした豪雪の際、NHKはこれを使わずソチ五輪中継を漫然と続けていた。地デジ導入時に説かれていたマルチチャンネルの効用はどこへ行ったのか。
やはりNHK内に、安保法制についてなるべく触れたくない人々がいるのだろう。彼らは自分の意思でそうしているわけではない。単に上の意向を忖度しているだけだ。なんせ籾井NHK会長が「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」と発言しても辞めることなく職に留まる組織なのだから。
NHKの労働組合、日放労は16日と17日緊急集会を開くようだ。題して「『NHKヤバイよね』は誰でも言える」。ポスターには「じつは今、NHKでは安保法案関連の番組が、出しにくい?」と大書され、下に「YES」「NO」とある。時既に遅しの観もあるが、立ち上がったNHK職員にはエールを送りたい。
NHKよ、「公共放送」と名乗っていて恥ずかしくないか。
(中津十三)
全く同感、公聴会は国民の理解を深めるために開催されるのに、国民に知らせなければ全く意味がない。
その意義がわかっていて放送しない。国の針路が変わろうとしている重大な時にナゼ放送しない。私には今回で分かった。NHKも政府とグルだ。公共放送の看板を返上しろ!!!