今年の夏は毎週、いや毎日のようにどこかで、安倍政権の推進する安全保障法制に反対するデモや抗議行動が行なわれていた。その総決算が、8月30日(日)、「戦争させない、9条壊すな! 総がかり行動実行委員会」が提唱する「戦争法案廃案! 安倍政権退陣! 8・30国会10万人・全国100万人大行動」だ。
7月15日に衆議院安保特別委員会で強行採決され、翌16日には自民党、公明党などによって衆議院本会議で採決された11の法案からなる安全保障関連法案(安保法制)。国民の猛反発に政府首脳は「7月18日から20日までの3連休を越せば世論は沈静化する」と高を括っていた。
しかし、発言が油を注ぐように7.26国会包囲行動には約2万5000人、7.28日比谷大集会には約1万5000人もの参加者が怒りの声を上げた。“沈静化”などと国民を見下した目論見は潰えた。しかもこの頃から安倍内閣の支持率も急降下し始めた。
舞台を参議院に移し安保法制の審議が行なわれているが、中谷防衛相はじめ閣僚の答弁は一向に要領を得ぬまま。8月21日には安倍首相の「どうでもいいじゃん」という野次が鴻池委員長から注意を受け、撤回するという醜態を演じている。
このだらけぶりは「60日ルール」のゆえかもしれない。これは、参議院の審議が60日を経過した時点で参議院では否決されたとみなし、再度衆議院で可決をすることで法案を成立させるためのルールだ。参議院の審議などどうでもいいと思っているのかもしれない。
その直前、行なわれるのが「戦争法案廃案! 安倍政権退陣! 8・30国会10万人・全国100万人大行動」。全国それぞれの場所での行動も重要だが、可視化という点で集中すべきは国会前だろう。
国会前で10万人以上が怒りの声を上げれば、安保法制の審議に大きな影響を与えることは間違いない。
最後に、5月3日の憲法記念日に横浜で行なわれた「5・3憲法集会」について書いた小欄での、中川敬さんの発言をもう一度掲げる。
日本戦後史上唯一無二の悪政を続ける安倍政権時代に生きる我々大人が、未来を手繰り寄せる上でやるべきことは、世界を凝視すること、目撃し、証言し、非当事者で居られるという妄想から脱出することなのではないか。正義フォビアに陥り、安穏と相対主義のゲームを続け、陰謀論に耽って思考停止したり絶望したり嘆いたりしている時ではない。街頭へ。希望と詩を胸に、しかるべき作法をもってして怒るべき時ではないか。子どもたちのために。子どもたちとともに。
(中津十三)