東京・中野駅近くにある「なかのZERO」で開かれていた、石川真生さんの写真展「大琉球写真絵巻」を見てきた(開催は7月8日17時まで)。
「大琉球写真絵巻」は、この春に出版された「世界」臨時増刊「沖縄 何が起きているのか」(岩波書店)のグラビアに掲載されたので、ご覧になった方も多いだろう。しかし小さな雑誌と違って、縦1メートル、横30メートルの大きな布2枚に印刷された写真群は、圧倒的な迫力だった。
石川さんは2013年春から撮りはじめ、昨年11月の沖縄県知事選挙に間に合うように第1回の「大琉球写真絵巻(パート1)」を那覇市で開催した。これを見た人は自分の歴史と重ねた人が多かったという。「ワジワジー(腹が立つ)するさ。沖縄をこれほどばかにして。絶対許せん!」(前掲書より)
写真群は、16世紀の漁師(ウミンチュ)、農民(ハルサー)の穏やかな生活から始まる。薩摩侵攻、琉球処分、沖縄戦、米軍統治、そして…時代に翻弄されてきた沖縄の歴史が、写真によって再現される。会場の中心に立ってぐるりと見回すと、歴史と現状がつながっていることが分かる。
再現にあたってさまざまな役を演じてくれたのは石川さんの友人およそ100人だ。安倍首相や仲井眞前沖縄県知事らのお面をかぶっての写真は、一見戯画的に目に映る。だがそれは、沖縄で行なわれていることが戯画そのものということだ。
戯画なら戯画で。1854年の琉米修好条約で米国のペリーが持っているのは「思いやり予算があるからいつまでもいたい」という条約文。辺野古の海に沈められる巨大コンクリートブロックで押しつぶされる10人の安倍首相。
写真は雄弁だ。万言を費やしても伝わらないことが、一葉の写真ですっと心に入ることがある。この写真展で、それを実感した。沖縄人の怒りと意地だ。(中津十三)
「大琉球写真絵巻 パート2」の制作費用が足りないそうです。応援しようという方はぜひご協力ください。寄付金(カンパ)を募ります。目標額は50万円です。
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沖縄銀行豊見城支店(とみしろしてん) 店番号207
普通預金1130807 名義 石川真生(いしかわまお)
※ 「大琉球写真絵巻」は、8月25日(火)から30日(日)まで、那覇市民ギャラリーで開催されます。