マガ9備忘録

東京・北千住駅西口から水戸街道へ向かうきたろーど1010の途中、ザ・プライス(旧イトーヨーカドー)を右に折れ、静かな通りに入る。さらに少し進んで小さな路地を入ったところに、築約50年の木造モルタルの元スナックをリノベーションしたアトリエがある。

その名は「奈か多”楼」。画家なかだえりさんの新しいアトリエだ。ここで開かれていた「なかだえり水彩画展16」にお邪魔した。

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なかださんの画業は縦横無尽だ。東京新聞で「あっぱれ銭湯」(毎月第1火曜)という連載を持っているが、時々法廷画家としても紙面に登場する。絵本画家として『奇跡の一本松』(汐文社)を著し、今年から道徳教科書に採用されたそうだ。また「思い出食堂」(少年画報社)で漫画家としてもデビューした。

しかし彼女の本領は、今回の個展でメインである水彩画だろう。畳敷きの2階にずらりと並んでいる。美しい淡彩と独特の描線。風景や自動車、小動物など描く対象もさまざまだが、ヒョウタンやブドウ、亀戸大根といった植物が殊に愛らしい。

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建物は、地元の古民家や蔵を活用する「千住いえまちプロジェクト」の手を借りてなかださんがリノベーションしたもの。宿場町だった歴史を感じさせる建物の消散を防ぎつつ、町自体の活性化を図るプロジェクトだという。

私は19日に伺ったが、近隣にお住まいの方々がひっきりなしに尋ねてくる。なかださんもにこやかに応対し、アトリエというより下町の民家でくつろいでいるような心地よさだ。

美しく可愛らしい絵を鑑賞しつつ、下町の温かさに包まれてはいかがだろうか。(中津十三)

※ 「なかだえり水彩画展16」は、4月24日(金)、25日(土)、26日(日)の13時から17時まで、「奈か多”楼」(東京都足立区千住3-16)で開かれます。入場無料。お問い合わせは、電話03-6873-1780へ。

 

  

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