今年は統一地方選のある年。年が改まってまだ1カ月半しか経っていないはずなのだが、さまざまなことがありすぎて、つい忘れてしまいがちだ。4月12日と26日が投票日に予定されており、各政党は準備怠りなくポスターを貼りだしている。
英国の法学者ジェームズ・ブライスの「地方自治は民主主義の学校である」という言葉がある。住民による政治参加、即ち、身近な自治体の問題を自分たちで決めることで、民主主義の手続きを知り政治への素養を高められる“学校”ということだろう。
翻って、前回2011年統一地方選の投票率は、例えば前半戦の都道府県知事選が52.77%、後半戦の市議選が50.82%。昨年暮れの衆議院選挙の投票率は52.66%だから、相変わらず住民の約半数が投票していないことになる。
「投票したい候補者がいない」「誰に投票しても同じ」などという理由は聞き飽きた。そうした無関心のひとつの結果が、昨年「号泣県議」で有名になった兵庫県議会議員の政務活動費の不正支出ではないのか。不正支出を指摘されているのは、号泣した元議員だけではないのだ。
あるいはこの年末年始に問題となった東京都渋谷区の公園閉鎖。ホームレス排除を、仕事がなくなる厳寒期に行うことは非人道的どころか命の問題だ。さらに言えば、万が一閉鎖されている時期に大規模災害が起きたら、住民はどこへ避難しろというのだろうか。
渋谷区で言えば、小欄で紹介した区議会の討論時間を制限しようとする動きも見逃せない。自分たちの基本的な権利を自ら封じようとする“怠け者”であるとしか言いようがない。
また、差別発言を繰り返したり、不祥事を起こす議員も全国で後を絶たず、東京都議会のセクハラ野次問題も記憶に新しい。
昨年9月に放送されたNHK『クローズアップ現代』「揺れる地方議会 いま何が起きているのか」では、その危機的状況が浮き彫りにされた。闇の中の政務活動費や会議費、立候補者不足、首長提案議案が約90%原案可決されているのに対し、議員提出議案は全体の約5%…。
これでは議会不要論も台頭するだろう。だからといって地方議会が廃止されるわけでもないのだから、「この県民にして、この県議会」と言われたくなければ、今の制度の中でよりよい人物を選んでいくしか方法はない。
「国民は自分たちのレベルに見合った政府しか持ちえない」という英国の歴史学者カーライルの言は、地方自治体にも当てはまる。“大文字”の政治も重要だが、“小文字”の身近なことも同じくらい重要なのだ。(中津十三)
渋谷区の件は,ホームレス排除じゃなくて,ホームレス支援を名目にして活動している団体排除でしたよ。だいぶ好き勝手やっていたみたいですからね。
地方議会は難しいですよね。なかなか政策レベルで判断できないし,地元の課題って何?って言われても,はっきり答えられないし。
日本の地方自治がダレる最大の要因は、決められる事が極めて制限されていて、失敗しても国が補助金で何とかしてくれるせいで、地方対地方の競争がないことにつきると思いますね。決められる事が増えて、行政の舵取り失敗して他の地方に負けたら、地方公務員の給料が半分になるだけじゃなく、住民生活にも深刻な影響がある、たとえば道路に穴があいて雨が降るとドロドロになっても直す金がないとか、しょっちゅう停電になるとか、水道が止まるとか、ゴミの日が月イチになるとかなれば、アメリカみたいに「大麻解禁して住民増やそう」とか、お馬鹿なことを必死になって議員は考えなきゃならなくなるわけですよ。でもその必要がないから、原発とか基地でも来ない限り誰も何も考えない。