マガ9備忘録

横浜の日本新聞博物館で開催中の、『石川文洋写真展「ベトナム戦争と沖縄の基地」』を見た。

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石川さんには、ご自身の人生を追ったドキュメンタリー映画『石川文洋を旅する』公開に合わせて、マガ9「この人に聞きたい」に登場していただいた。プロフィールはそちらをご覧いただきたい。

ここで実感したものは、当時のベトナムと沖縄の「近さ」。それは一体と言ってもいいほどだった。

ベトナム戦争では、沖縄は米軍最大の後方基地として機能した。兵士は訓練を受け、爆撃機は爆弾を満載して沖縄から戦場へ向かった。帰還兵の束の間の娯楽である歓楽街や、壊れた兵器を修繕する場も、その機能の一部だった。

そうした「近さ」を体現した人物が、被写体となっている沖縄出身の米兵、土池敏夫だ。彼の父はハワイ生まれの2世で、沖縄戦のときに通訳として来沖し、ここで出会った女性との間にできた子どもが敏夫。沖縄で生まれた敏夫には米国市民権はなく、これを得るために軍に志願したのだ。

ベトナムに送られた敏夫と石川さんはすぐに意気投合。首里生まれだが、すぐに本土に引っ越してしまった石川さんよりもずっと沖縄に詳しかったという。しかし彼は、語らってから2カ月後で戦死した。まだ19歳だった。

戦争のむなしさ、悲惨さ。これはいくら強調してもし切れないだろう。石川さんのレンズの先にある人々の嘆きや悲しみ、怒りが時を超えて伝わってくる。一方 、ベトナム戦争終結後、戦争中に出会った人々のその後を写した写真には、感動の涙を禁じえなかった。

枯れ葉剤の後遺症や不発弾に苦しむベトナムの人々。基地問題に揺れる沖縄。ともに現在進行形だ。2つの地での「戦争」は終わっていない。

チラシにはこうある。「第2次世界大戦から69年が経過した平和憲法の国は、戦争のできる国へと歩もうとしています。今こそ、戦争の実態と平和を真剣に考える時期だと考えます。写真を通して、一人でも多くの方に平和について伝えたいと思います」

次の日曜日は、沖縄の今後が懸かる県知事選挙投開票日だ。(中津十三)

※ 『石川文洋写真展「ベトナム戦争と沖縄の基地」』は横浜・日本大通の日本新聞博物館2階企画展示室で12月21日まで。時間は10時から17時まで(入館は16時30分まで)。入館料は一般510円、大学生410円、高校生300円、中学生以下無料。
※ 本展では関連イベントがあります。
 講演会「ベトナム戦争と沖縄の基地」 講師:石川文洋氏 日時:11月22日(土)14時~16時(受付13時30分から)会場:日本新聞博物館 2階ニュースパーク・シアター
 映画『石川文洋を旅する 』上映と石川文洋氏トーク 日時:11月23日(日祝)13時~15時30分(受付12時30分から)会場:日本新聞博物館 2階ニュースパーク・シアター
 ともに定員120人(申し込み先着順)。それぞれ予約が必要ですので、詳しくはこちらのページをご覧ください。

 

  

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