マガ9備忘録

またしてもサッカー界で差別事件で起こってしまった。8月23日のJ1横浜F・マリノス対川崎フロンターレ戦で、川崎のレナト選手に対し、手に持ったバナナを振りかざした横浜FMサポーターの男性が目撃されたのだ。

横浜FM球団の対応は早かった。試合中に次第を把握してこの男性を特定し、終了後に事情を聴いた。男性は「挑発行為はしたが、差別の意図はなく、特定の選手に向けてではない」と話したが、横浜FMは差別的挑発行為だとして、無期限入場禁止とした。

バナナを振りかざして黒人選手を侮辱する差別事件は、欧州リーグなどで度々起こる。今年4月27日、スペイン1部リーグFCバルセロナのダニエウ・アウベス選手がCKを蹴ろうとした際に、ピッチに投げ込まれていたバナナを拾い上げ、食べてしまったことは記憶に新しい。

「黒人は人間ではない、猿だ。だから猿の好物のバナナを食え」という人種差別の図式。そこでは、バナナはただの果物ではなく、差別の道具になってしまっている。アウベス選手も腹に据えかねていたからこそ、食べたのだろう。これは、アウベス選手に賛同するサッカー関係者やファンがバナナを食べながら、差別を非難するキャンペーンに広がった。

さて、既に横浜FMの嘉悦朗社長は、Jリーグの村井満チェアマンに今回の事件を報告している。今後、Jリーグから厳正な処置が下されるだろう。先に小欄でも触れた、浦和レッズの事件とその代償をもってしても、新たな差別事件が起きてしまったことは、サッカーファンとしてただただ、悲しい。

浦和の事件は、先日の国連の人種差別撤廃委員会でも取り上げられた。日本のヘイト問題はもはや海外から注視されているのだ。

バナナを振りかざした男性はまだ10代だという。事の重大さを考えれば無期限入場禁止処分はやむを得ないにしても、球団やJリーグは、なぜこれが問題になるのか、人権とは何か、なぜ差別はいけないのかなどを広く説き、この男性も含めサポーター全体の意識向上を図ることが急務だ。

川崎の大久保嘉人選手はこの事件を受けて、「サポーターも講習を受けたほうがいいんじゃない」とコメントした。講習とまでいかなくても、サッカー界は、あらゆる差別を許さない姿勢を堅持するとともに、さまざまなアクションでそれをアピールしてほしい。(中津十三)

 

  

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その47)サッカー界は差別を許さないと
さらにアピールせよ
」 に1件のコメント

  1. 島 憲治 より:

      浦和事件がなんにも教訓になっていなかった。これは日本人の幼稚化の表れか。このグローバル社会において恥ずかしいという意識が働かないのだ。これでは試合を壊しているだけだ。協会幹部、サポータの取り組みが底が浅かったのでは。勿論、学校教育にも問題があろう。伝えられている「いじめ」に対する対応を見れば一目瞭然だ。                                                           日本人の精神的特徴は「自己批判を知らないということである。あるのは自己愛、つまりナルシシズムだけである」。と、戦時中日本に滞在していたカール・レビットという方が語ったという。
       私は 偏見、差別の水脈は「自己愛」にあると見ている。そして、その傾向が年々強まっていると見ている。 自己愛は本能に基づくが、隣人愛は理性に基づくという。従って、日々の学習は欠かせない。この点、憲法は格好の教材だ。そして想像力を磨くことだ。人権感覚は受験学力からはなかなか培われない。体験、想像力がものをいう世界だからだ。
       「ヘイトスピーチ『法規制』国連委が日本に勧告」。これは暴力と表現の自由の区別がつかない日本人の人権感覚を指摘しているのだ。 人権侵害の歴史を教訓に人権保障のために作られた日本国憲法。施行されて67年未だにこの有様だ。              
     サポーターの質が選手の質を高める。このことを肝に銘じべきだ。

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