マガ9備忘録

青林堂といえば、漫画雑誌「ガロ」で一世を風靡した出版社だ。しかしさまざまなトラブルがあり、今では今では全く方向転換した右翼的な雑誌や出版を行うようになった。桜井誠(本名:高田誠)在特会会長の著書も刊行しており、その変貌ぶりに驚かされる。

このように、昔と同じと思っていたら、いつの間にか中身が変わってしまっているものを考えてみた。

例えば自民党。正しくは「自由民主党」。確固たる政権与党だ。その名から「自由主義」と「民主主義」を理念としているはずだ。しかしその実態はどうだろう。

自由主義でなく、弱肉強食の新自由主義を推進しているのはご承知の通り。民主主義の方は、共産圏の政権党もかくやという統制ぶり。石破茂幹事長に公約を撤回させられた沖縄選出の議員がうなだれて晒し者になった写真も記憶に新しい。

2012年に出された自民党改憲案が中華人民共和国憲法に似ていることも併せて考えると、本当に自民党はドグマが支配する教条主義の政党に成り果てた。

しかし、「自民党」は金看板だ。派閥が擬似与野党交代を行い、右からリベラルまでいた包括政党であった頃の記憶が未だに人々のなかにはある。自民党に任せておけば大丈夫だ、と。

「憲法自体が“憲法違反の存在”」(赤池誠章副幹事長)、「(婚外子相続差別は違憲との判決について)なぜ最高裁が言ったら変えなければいけないのか」(小島敏文衆院議員)といった、議員としての資質を疑わせるような反知性主義的な発言も後を絶たない。名前が同じでも、中身は変わったのだ。

さらに言うと、NHK。かつては「みなさまのNHK」を曲がりなりにも標榜していたが、籾井勝人会長以下、現在の経営委員になってからは、すっかり「安倍さまのNHK」になってしまった。もちろん、教養番組班など今でも頑張っているセクションはあるだろうが、その政権べったりの報道には言葉を失う。

それでもNHKニュース9の大越健介キャスターの言うことに頷き、左右される人も多い。これは大越キャスターというより、放送法で規定されたはずの「公共放送NHK」の金看板が物を言うのだろう。

「昔の名前で出ています」という流行歌があった。昔の名前ではなく、今の中身に気づかなくてはならない。政権や公共放送は、己の信頼に足りるものだろうか、と。(中津十三)

 

  

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