雨宮処凛がゆく!

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7月28日、「特攻・靖国・愛国心」というテーマで、
80歳の元特攻隊員・信太正道さんとトークしました
(「戦争屋に騙されない厭戦庶民の会」主催)。
ものすごーくパワフルな方でシビれました。

 参院選が終わった。
 当日の夜、日テレの「ニュースゼロ」に出演した。選挙特番の2部だ。
 出演者は、自民党の石原三男、民主党の太田和美氏、宮崎哲弥氏、経済評論家の勝間和代氏、スポーツキャスターの荻原次晴氏、えなりかずき氏、そして私。御意見番として登場したのはナイスミドル・姜尚中氏だ。
 実は私、姜尚中氏の大ファンで(主に顔と声)「姜尚中の写真集出版を求める会」会長だ(会員2名)。そんな姜尚中氏は自分が話すことで場を支配する(しかも本人には支配しようという気はたぶんない)という特技を持ち、朝生などでもよくその腕前を披露しているが、楽屋で雑談しているだけでもやはり場を静まらせていたのだった。低音ウイスパーボイスの実力である。
 そしてとうとう番組開始。11時45分放送開始だから、既に自民惨敗、民主大躍進、というのは誰の目から見ても明らかだ。そんな状況の中、番組内で私の座る位置はあまりにもスペシャルだった。なんと右隣が石原三男、左隣が太田氏。思いきり自民党と民主党に挟まれ、まさに「天国」と「地獄」の狭間という、無駄に緊張度の高い場所。
 続々と伝えられる開票速報。そのたびに左からは喜びが、右からは絶望がひしひしと伝わってくる。嬉しさを押し殺す太田氏と、がっくりと肩を落として溜息をつく三男。リアルすぎる喜びの格差・・・。その狭間で無駄に気を使わざるを得ない私。時折隣から聞こえてくる、「ダメだったか・・・」という石原三男の苦渋の呟き。もともと泣きそうな石原三男の顔が、更に苦しげに歪んでいく・・・。ど、どうしよう・・・。隣で泣かれたら・・・・。しかも石原三男に・・・。そう思っているうちにも三男のテンションは更に下降線を辿り、思わず「大丈夫か? 」と何度声をかけそうになったことか。
 番組では、格差、貧困問題についていろいろと語らせてもらい、最後のまとめでは「今の日本は二世議員しか安心して生きられない国」なんてことを言おうかと思ったが、なんか隣の三男があまりに凹んでいるのでやめておいた。だって、これ以上何か言ったら、番組後に自殺とかしちゃいそうな気がしたんだもん! それにしても落ち込みすぎだぞ、三男! 生きてるか?

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7月29日、『「ニート」って言うな!』(光文社新書)
の著者、本田由紀さんと。感激。

  そして番組ではもうひとつ、特筆すべきことが。無所属で立候補し、見事当選した川田龍平氏が生出演したのだ。何を隠そう、私は彼の推薦人の一人である。といっても、今回の選挙にあたって何もしなかったダメ推薦人なのだが、川田氏とはスタジオで固い握手を交わし、思いきり喜びをわかち合ったのであった(石原三男の前で)。
 彼と出会ったのは今年2月。川田氏と私の講演が行われ、帰り道、電車の中でじっくり話した。その頃既に立候補を決めていた彼は、私の取り組む非正規雇用の問題に熱心に耳を傾けてくれ、政治の場で闘ってくれると熱く語ってくれたのだった。私と川田氏の繋がりは、やはり「生存権」だろう。薬害エイズという、人の命よりも利益を追求する残酷な姿勢から起こった事件と、「市場競争に勝ち続けられない奴は一刻も早く死んでくれ」というメッセージが覆う社会の生きづらさ。その根っこにあるものは同じだ。今回、多くの若者が川田氏を支持した。その背景にあるのは、今の競争社会の中、大切なものがいとも簡単に踏みにじられていくことに対し、多くの若者が違和感を感じていたからだろう。そんな中で生きることに傷ついていたからだろう。
 番組終了後、彼は非正規雇用の問題に取り組んでいくことを約束してくれた。当選後の川田氏と話して、改めて強い味方ができたことに気づき、嬉しくなった。直接意見を伝えられる人が政治の場にいるということ。そんなの初めてだ。なんだか妙にワクワクする。これから「生存権」を脅かす政治的な動きが出てくるたびに、川田氏に電話してしまいそうだ。迷惑がられない程度にしよう。

 さて、今回の選挙で、安倍は多くの人にNOを突き付けられた。当然だろう。だけど、それで民主躍進、というのも「なんだかなー」という思いがする。アンチ自民で民主。で、「どうすんの? 」というのが多くの人達の思いではないだろうか。特に憲法。なんで民主党だけ一人勝ち? というのが終わってみての大きな疑問だ。
 ということで、嬉しいお知らせ。「生きさせろ!  難民化する若者たち」が、日本ジャーナリスト会議の「JCJ賞」を受賞した。受賞理由は以下。
「現代の若者たちの絶望的な『生きづらさ』の実情を、自身『難民』のひとりとして彷徨した経験などを通じて等身大に描き、超低賃金、偽装派遣、過労死など若者を『生かさない』政治・経済の仕組みを告発し、連帯を呼びかける。若い女性作家の人権闘争宣言ともいえる。」
 おお、人権闘争宣言!賞を貰ったのって初めてなので、とっても嬉しい。

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「雨宮人形」を頂きました。かわいいいいい!!!
なんと、ちゃんと拡声器も持ってる!!
(ビーアイシーという会社のお人形です)

 

  

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雨宮処凛

あまみや・かりん: 1975年北海道生まれ。作家・活動家。2000年に自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版)でデビュー。若者の「生きづらさ」などについての著作を発表する一方、イラクや北朝鮮への渡航を重ねる。現在は新自由主義のもと、不安定さを強いられる人々「プレカリアート」問題に取り組み、取材、執筆、運動中。『反撃カルチャープレカリアートの豊かな世界』(角川文芸出版)、『雨宮処凛の「生存革命」日記』(集英社)、『プレカリアートの憂鬱』(講談社)など、著書多数。2007年に『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版)でJCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)を受賞。「反貧困ネットワーク」副代表、「週刊金曜日」編集委員、、フリーター全般労働組合組合員、「こわれ者の祭典」名誉会長、09年末より厚生労働省ナショナルミニマム研究会委員。オフィシャルブログ「雨宮日記」

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