民主党も自民党も「消費税率引き上げ」だって。マスコミは、増税が当然とばかりに「『消費税タブー』を超えて」(6月18日付・朝日新聞社説)なんて、はしゃいでいるけれど、これじゃあ、どっちに投票しても一緒じゃん。
ということで、第3極の期待の星、みんなの党。民主党の支持率回復で、やや霞み気味ではあるが、今回の参院選の注目政党には違いない。で、行ってきました、「タウンミーティング」。
今月14日の東京・杉並公会堂。平日の夜、雨、ワールドカップの日本初戦と、確かに悪条件は重なったが、会場は寂しい限りだった。来場者の数は、あえて書きませんが。
渡辺喜美代表の話は、わかりやすくて面白かった。「消費税を上げる前に、やるべきことが山ほどある」。その通り! 官僚の天下りネットワークの廃止や小さな政府、地域主権を訴え、子ども手当は「借金を積み増しして配っているだけの選挙目当ての政策」と手厳しい。
民主党政権への批判は徹底していた。「自民党体制を支えてきた人(官僚)がそのまま。国家経営のノウハウがわかっていない」「消費税引き上げも、官僚統制」等々。菅首相に対しては「(国会答弁で)官僚の作文を投げやりに棒読みしている。今や『官総理』だ」。「今の内閣は狂っている」とまで言い放った。
民主党と自民党の政策が近づけば近づくほど、有権者の閉塞感が、この党への求心力を強めるんだろうな。タウンミーティングには来なくても、潜在的な支持層はけっこう広そうだ。
ただ、私にはどうしても信じ切れない部分が二つある。
一つは、立候補者の顔ぶれだ。黎明期の政党にありがち、と言えなくもないが……。
この日の登壇者の1人、参院選の比例区に立候補する女性は、元民主党杉並区議だが、昨夏の東京都議選に無所属で出馬して落選したばかり。「区議では出来なかったことをやりたい」という動機は聞けるにしても、「都議でも国会議員でも、何でもいいのかい」と、つっこみの一つも入れたくなる。ちなみに、司会をしていた衆院議員は、民主党都議時代の2008年に、酒気帯び運転で議員辞職&民主離党をされたお方。
東京選挙区から立候補する男性は、コーヒーチェーンの創業者だそうだ。ほかにも、インターネット系、外資系証券など、経営の最前線で活躍した面々が名乗りをあげた。「民間の感覚を政治に持ち込む」という狙いはいい。でも、弱肉強食の世界を勝ち上がった人たちが、今日の生活にも困窮する庶民の気持ちや感覚を汲んでくれるのか、甚だ心配である。効率第一で、社会的弱者への制度や手当が「無駄」と簡単に切り捨てられなければいいけれど。
もう一つ、これは私にとってかなり重要な要素なのだが、憲法へのスタンスが不安である。
党のホームページに載っている「アジェンダ(選挙公約)」を見ると、「憲法は、これからの新たな国のあり方にあわせて見直す必要があり(道州制の導入など)、憲法審査会を早急に始動して議論を開始する」と書かれている。
9条に対する見解は示されていないが、「唯一の被爆国として『核廃絶』の先頭に立ち」という言葉とともに、「日米同盟を基軸にしながら、我が国への脅威、急迫不正の侵害に対しては、万全の体制で臨むべきだ」と力強く宣言している。渡辺代表は「(みんなの党は)憲法改正勢力だ。憲法草案まで作っていないが、改正に熱心な人を(参院選で)擁立していきたい」と力説したそうだ(朝日新聞・5月3日付朝刊)。
現在は、みんなの党に所属している川田龍平・参院議員は、3年前の参院選への立候補を表明した席で、「日本の政治が右傾化し、戦争をできる国にしようとしている。人権や命、平和を尊重する憲法がないがしろにされている今の社会を何とかしたい」と決意を述べたという。その志は、今も変わっていないと信じたい。ぜひとも党内の憲法論議をリードしていただきたいところである。
昨年の衆院選でも5人が当選と、
予想以上の支持を集めた「みんなの党」。
参院選でも躍進? との声もありますが、
その目指すところはどこにあるのか。
しっかりチェックして、判断したいものです。