特権階級だけが得をし、兵士たちはみな人間でなくなってしまう「戦争」。
そこには、究極の「格差」が存在するのではないでしょうか?
人間らしい生活を求め、生存権を訴えることと、平和を訴え、戦争反対を叫ぶこと。
この二つの共通点についてや、格差社会と9条について、語っていただきました。
今回が最終回です!
雨宮処凛●あまみや・かりん作家。1975年、北海道生まれ。愛国パンクバンド「維新赤誠塾」ボーカルなどを経て作家に。自伝『生き地獄天国』(太田出版)のほか、『悪の枢軸を訪ねて』(幻冬舎)、『EXIT』(新潮社)、『すごい生き方』(サンクチュアリ出版)、『バンギャル ア ゴーゴー』(講談社)、『生きさせろ!〜難民化する若者たち〜』(太田出版)など、著書多数。現在は新自由主義の中、生活も職も心も不安定さに晒される人々(プレカリアート)の問題に取り組み、取材、執筆、運動中。「マガジン9条」「週刊金曜日」「BIG ISSUE」「群像」にてコラム連載中。『雨宮処凛公式ホームページ』
森永卓郎●もりなが・たくろう経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。1957年東京都生まれ。東京大学経済学部を卒業後、日本専売公社、日本経済研究センター(出向)、経済企画庁総合計画曲(出向)、三和総合研究所(現UFJ総合研究所)を経て2007年4月独立。テレビ番組のコメンテーター、ラジオのパーソナリティーとしても幅広く活躍中。近著に『平和に暮らす、戦争しない経済学』(アスペクト)、『萌え経済学』(講談社)、『年収120万円時代』(あ・うん)、『構造改革の時代をどう生きるか』(日経BP)など多数。『つながるモリタクBLOG』でも日々発信中。「マガジン9条」発起人の一人。
●貧乏人は兵士予備軍
編集部
前回、これまでの歴史から市民革命が戦争に引っ張られていく可能性は高い、という森永さんの話がありましたが、一方でもう現実的なこととして、イギリスやアメリカでは、庶民、それも貧乏人が兵士になって戦場に連れていかれているという話を聞きます。雨宮さんもコラムで書いていらっしゃいましたけれども、アメリカは志願兵ですが、年間180万円というびっくりするような安いお金で、イラク戦争の前線にかり出されているんですよね。もともと年収100万ぐらいの人たちにとって、180万もらえるのならば、ということで志願していくのでしょうが、それにしてもなぜ? という疑問も浮かびます。
森永
軍に入ると給料がもらえるというのもそうなんですけど、奨学金をくれたり、軍から直接大学に通わせてくれるんです。もちろんアイビーリーグのような名門校には、絶対に入れないですよ。一年間の学費が500万円くらいかかりますから。だから地方の州立大学とかに行くんですけど、アメリカは学歴社会なので、そうやって軍経由で大学を出て、年収300万円生活に入っている人もいるんですよね。軍に入っても大学に行けずホームレスになっている人たちもいるんですけれども。
雨宮
それでも300万円なんですね。
森永
アメリカがイラクに兵隊を増派するときに、新たに何万も若者が集まらないだろうと、みんな思いますよね。でも、集まるんです。どうするかっていうと、一般の学生の奨学金をしぼるんです。
雨宮
えーっ。それ、ほんとにひどいですね。この間、高遠菜穂子さんとの対談で、イラク帰還兵がホームレスに、しかも家族連れでなっている人が少なくないという話を聞きました。PTSD*になって自殺する人もいます。貧困層の人が、イラクで頑張って国のために働けば、帰ってからいい生活ができる、そう思って行ったものの、帰国したら以前よりもひどいことになっている、というような話を彼女はいろいろ当事者から聞いているようで。
彼女は北海道の千歳の人なので、身近に自衛隊の人たちをたくさん見ています。今、北海道では自衛隊の広報や宣伝活動がすごいみたいです。宣伝にモーニング娘を使っていたり、女性自衛官がイラクでこんなにがんばりましたよ、とか。自衛隊に入ると、こんなに役に立つ仕事ができるんですよ、というようなことを盛んにアピールする番組が地元で放送されていて、けっこう人気があるそうで。高校生に自衛隊の体験入隊をさせて、迷彩グッズのようなものを見た女子高生が、すごいかっわいいといって、簡単に入っちゃうみたいなことになっていて・・・。
もちろん北海道は、最低賃金が安いですし、仕事もほんとないです。だからそういう状況に置かれている若者たちが、ホイッと自衛隊に入ってしまう、そういう流れは作りやすいでしょう。貧乏だったり、学歴がなかったり、仕事がなかったりしたら、普通に自衛隊に行くと思いますよね。
*
注)PTSD…外傷後ストレス障害(Post-traumatic stress disorder)の略。過去に受けた強烈な心的外傷が原因で、精神不安やフラッシュバック(追体験)などの症状が現れることを指す。1970年代の米国で、ベトナム戦争の帰還兵士の間で自殺者やアルコール中毒者が急増するなど、戦場体験の精神的後遺症が社会問題化したことで注目を集めるようになった。
森永
それはまさに、アメリカと同じ構造ですね。なぜ、イギリス軍やアメリカ軍が、アブグレイブ刑務所での捕虜虐待といったような、ひどいことを行うのかというと、要するにほんとうのプロの軍人があそこに行ってるわけじゃないということなんです。結局、前線に送られている兵隊も「道具」扱いなんですよ。
話が飛びますが、私の父は特攻隊員だったんですね。蚊龍(コウリュウ)という四人乗りの人間魚雷、それに乗る予定になっていて、突撃する日、すなわち命日も決まっていたんですが、その日より早く、終戦になったので生き残りました。しかし父の兄は零戦の特攻で亡くなっています。だから、私が生まれた時から家族みんなで、毎年、春と秋になると靖国神社に行くんです。
私は、ずっとそうやって子供の時から靖国にお参りしてきたのですが、だんだんと大人になり、いろんなことがわかっていく中で、一番大きな衝撃は何であったかというと、靖国神社の遊就館には、特攻に行った人の名前がだーっと出ていますが、そのほとんどが海軍予備学生、要するに素人なんですよ。
敵の軍艦にちゃんと命中するように飛行機を操縦する技術は、ものすごく難しいわけです。だから素人を飛行機に乗せて突っ込ませて、当たるはずがないんです。でも、職業軍人で特攻になった人というのは凄く少ないし、将校級で特攻やった人って一人とか二人じゃないですか? 結局、みんな自分は死にたくなかったんですよ。天皇陛下のために華と散るんだ、ということを考えちゃいなかったんですよ。みんな若い予備学生を「道具」にして、バンバン突っ込ましちゃえばいいと考えていたはずです。
私が小泉純一郎氏を、個人的にも“許せない”と思ったのは、最初に首相に就任したときに靖国神社を訪問するかしないかで、30数日間“熟慮”するんです。そのとき「やっぱり私は行く」と決断した理由として「戦争で国のために戦った人は、靖国神社で仏様になるんだ」って言ったんですね。神社で仏様ですよ。
「この人何言ってんだッ!」とビックリしたわけです。私はもちろん右翼でもなんでもないですが、ただ靖国神社をどうするのか、ということを言えば、あれは要するに国として、国民を騙しちゃったわけですから、特攻に行った人たち、特攻で家族を亡くした人たちの心の拠り所になっているわけですよ。だからそういうことを国家がしちゃった以上、もう風化するまで待つ意外に手はないんじゃないかと思うんです。
でもやっぱり許せないのは、そういう人の命を何とも思わずに、どんどん使い捨てにしてしまうその思想が、今の経済の中に復活してきていることです。
雨宮
「マガジン9条」で森永さんが書いていた、「市場原理主義者と戦争肯定者は、つながる」というのは、本当にそうだなと思いました。
森永
両方とも“愛のない人たち”ですから。
雨宮
小泉さんは靖国神社へ行き、亡くなった人たちを悼むというポーズをとりながら、人の命を使い捨てにする市場原理主義を肯定している。そのへんのねじれが本人の中に同居しているというのは、どうなんでしょうか?
森永
彼は感性で生きている人なんで、あんまり論理的にものを考えているとは思いませんが、ただやっぱり小泉さんも三代続いた政治家、家業が政治家ですから、勝ち組階級なわけですよね。安倍さんだって、福田さんだってそうでしょう。だって彼らの友達にフリーターがいるって聞いたことないですよ。
雨宮
ははは・・そうですね。
森永
特権階級の人たちが一般庶民の生活と遊離して、自分たちだけが住みやすい国を作ろうとしているという面では、感覚的には小泉さんや安倍さん、福田さんもそのなかにいるんだと思います。
編集部
戦前は、庶民には人権がなかったわけですけれども、戦後、日本国憲法ができて国民主権や個人の尊重がいわれ、平和主義や民主主義の思想が入り、日本をそういう国にしていこうと、みんな本気で考えてやってきたと思っていたのですが・・・。だけどここにきて、人の命をなんとも思わない政治家や経済学者、経営者が増えてきたというか、戦前のごとく蘇ってきたという感じなんでしょうか?
森永
なんだかそんなヤツばっかりになっちゃったというか。少なくとも大企業はそうですね。
●年収100万なら、「希望は戦争」
雨宮
貧困と戦争の親和性を考えたときに、年収300万円は、戦争に行かない一つの鍵だと思います。「31歳フリーター。希望は、戦争。」を書いた彼は、年収100万円台なんですけれども、彼のひとつの希望は、年収300万なんですね。300万あれば全然問題ないというか、コンビニの夜勤の仕事も300万だったら続けていけると言ってます。しかもそれは世の中に必要とされている仕事ですしね。
コンビニの夜勤だったり、工場のライン労働だったり、フリーターのしている仕事ってみんな必要なこと、誰かがやらなければいけないじゃないですか。それなのに、それが不当に、差別的待遇をされ、低賃金で不安定であるってこと自体が問題です。だからその仕事で、300万円くらいになれば、子供も家庭も持てるし、問題ないと言うんですね。
彼は、戦争になって人がいっぱい死ねば、社会が流動化するから「戦争を希望する」というふうに書いていますが、「もしあなたが豊かになったら、それでも戦争を望みますか?」と聞いたら、「臆面もなく平和を望むでしょうね」と言うんですね。だからフリーター層が年収300万くらいになって、家庭が持てるかもと思えるぐらいになれば、戦争待望論は出てこないし、戦争に引っ張られるということもないと思うんですけれど・・・。
やっぱりそう考えると、特権階級というのは、明らかに貧困層に不満を溜めさせておいて、戦争でなんか一発逆転というのをやろうとしているのかな、と思いますね。
森永
300万だったらどうにかなるけど、100万じゃ、年金、保険料払えないですから、病気になっても病院へ行けないし、無理です。だから、私の本でも書いているのは、政権の問題ある政策の批判もしますが、とにかく、当事者に対しては、100万円から脱出することを考え、300万円は確保するようにしましょう、ということを言ってます。その方法や考え方を、あれこれできるだけ具体的に書いてるつもりです。
●人間が、完全に人間でなくなる「戦争」
編集部
今、日本は格差問題が大きくなっていて、貧困による自殺の増加、戦争待望論、そして兵士予備軍が作り出されている、という何ともやりきれない話がたくさん出たのですが。そういう状況において、「憲法9条は役に立つのだろうか?」という、答えるのがとても難しい問題について、聞いてみたいと思います。
森永
私は、平和のないところに平等はないと思っています。結局、太平洋戦争のとき何が起きたかといったら、直接的には300万人以上の人命が失われて、国土の4分の一以上が焼かれて失われた。でもそれだけじゃなくて、凄く厳しくてつらい生活を送らなきゃいけない人がたくさん出たんですね。戦争して庶民の生活が良くなったことは、おそらく歴史上ただの一度もないんです。だから私は、基本の話になりますが、庶民の生活を守る一番は、平和を守ることだと思うのです。
日本は、国際貢献していないとか言って、非難する人がたくさんいますが、戦後憲法9条を抱えて、日本は戦争をしないんだ、戦力を持たないんだという主張をずっとしてきたということは、私は世界の平和にものすごく大きな貢献をしてきたと思うんです。
だからそれを変えようって言っている人たちの、隠された魂胆を知らなくちゃいけない。ただでさえ今、庶民が苦しい生活をして、一部の勝ち組の人たちが豊かな生活をしているんですけど、戦争というのは、勝ち組の人たちの利権と連なっているんですよ。だから例えばイラクで復興支援事業が始まるというと、いきなりハリバートン*が出てくるという構造があるわけですよ。だから全体としては、戦争は損をするものなんだけど、一部の人たちだけは戦争で儲かるんです。その一部の人たちに庶民が含まれることは、まずないわけですよ。
注)ハリバートン…米国の大手石油開発会社。イラク戦争における復興事業および後方支援関連事業の多くをそのグループ会社が請け負った。チェイニー米副 大統領がかつてCEO(最高経営責任者)を務めており、現在も米政府との密接な関連が指摘されている。
編集部
一部特権階級の人は、自分たちの儲けのために戦争をする。でも前線でコマのように、道具のように使われてしまう、一般庶民や今で言えば、貧困層の人間はどうなんでしょうか?
森永
私、ずーっと靖国神社に行っていて一番嫌だったことは、戦争経験者と仲良くなってくるうちに、彼らといろいろ話をするようになって、彼らから「本当のことをいうと、戦争している時は、人殺しほど面白いことはなかった」という話を聞いたことです。
雨宮
ええっ! ほんとにそんなこと言った人がいるんですか?
森永
何人もいますよ。戦争というのは、結局ゲームとしては、テレビゲームで戦っているよりも、はるかにリアリティがある、というか本物ですからね。撃たなかったら撃ち殺されるんです、戦争ですから。そんなものすごい緊張感の中で、相手を撃ち殺した時の快感があるのだそうです。
なぜそんなことになってしまうのか? それはね、もう人間ではなくなっちゃっているからと思うんです。お互い殺しあってはいけないというのは、人間の究極のルールというか、ルール以前の人間としての基本要件ですよ。でもそれが、戦争の時は壊れちゃうんです。
雨宮
「戦争中、人を殺して面白かった」というような話は、聞いたことはないですね。初めて聞きました。
森永
表向きには絶対に言えないことですからね。
雨宮
いやぁ、その言葉の方が、いかに戦争の悲惨さを伝えるよりも恐ろしいですね。
森永
戦争って、人間を人間でなくしちゃうんですよ。だから戦争になると、何にも成り立たなくなっちゃうんです。もちろん戦争が終わってからは、殺した人は心に相当な傷を負っていると思うんです。だから平和を守ろうというのは、「人間でいよう」ということなんですよ。
●格差社会の中、9条はどう役に立つのか
雨宮
さっきの「希望は戦争」って言っているような方も、軍隊に入ると、いろいろ資格は取れるだろうし、給料も保障されるし。で、戦争に行って死んだら、名誉と恩恵が得られるだろう。でも、このままフリーター生活をしていると、お父さんが死んだ十年後には、自分は首をくくる以外にないだろうっていう発想で、だから改憲もした方がいいという意見なんです。
彼に言わせると、戦争を待望してしまうような貧困層においては、今ここが戦場じゃないか。なぜなら今自分たちは、この格差社会の最底辺で生きるか死ぬかの、しかもなんの大義もないのに、ただ生き残りのための生存競争をさせられている。
9条を守ることによって、今の平和を維持していこう、と言うのなら、それは今の自分たちの格差が固定されて、自分たちを最底辺に閉じ込めた上で平和が続いていくことではないのか? これが平和というなら、平和なんて何だ!?みたいな、そういう気持ちからも言っている言葉だと思うんです。
森永
今、フリーターで追いつめられている人は、人間性を否定されてしまっています。でも実は人間なんです、当たり前のことですが。それが戦争になると、もう人間じゃなくなっちゃうんですよ。そうすると、もっと恐ろしいことが、現実に起こるわけですよ。
父の話を聞いていると、特攻隊員がどういう扱いをされたかというと、特攻を命じられた瞬間に神様になるんですって。そして羊羹を与えられるそうです。終戦間際のまったく食料のない時代に、神様になって羊羹食べているんですよ。
でも、それが幸せなのかというと・・・。例えば自分の命日が決まっているという状態というのを、どう思いますか? 例えば、人間魚雷の回天(カイテン)のハッチは、外からしか開かないんです。それはね、もう人間じゃないんだと思うんです。で、神様っていうふうに言っているけど、ほんとはただの道具ですよね。兵器の一部になっちゃうわけですよ。
だから、人間性を否定された状況にヤケになってね、一か八か戦争だ! でもそう言った人たちが、本当の戦争になるとどういう扱いをされるかというと、それは真に人間じゃなくされてしまうのです。
雨宮
彼らの言う戦争というのも、聞くとかなり自殺願望なんです。自殺願望なんだけれども、自分だけが自殺するよりは、国民全員が苦しむ平等を要求するみたいなことを言っていて。平等を求めるんだったら、全員が不幸になるしかないみたいな、そんな切実さも感じつつ・・・。
編集部
「希望は戦争」の論文を書いた彼は、「宇宙人が攻めてくるような戦争」が都合がいいと言ってましたね。もっともその状況なら、「平等に全員が苦しむ」ことになるかもしれませんが、森永さんのお話を伺っていると、いわゆる戦争は、庶民と特権階級との間に、さらなる格差を生じさせるんですね。となると、「格差問題において、憲法9条がどう役に立つのか?」という問いについては、「特権階級が自分たちの都合の良いように、庶民を究極にモノ扱いする戦争への歯止め」、という役割かと思いますが・・・。かなり消極的な考えではありますけれど。
森永
労働者が自分の権利を主張し、平等を訴える、これは、憲法を守ろうという運動と同じなんだと思うのですが、要するに、努力を放棄したらその時点でお終いなんです。確かに、やんなっちゃうんですよ、もうこのところ右翼ばっかりが増えてますから。テレビやラジオで憲法改正反対って言っただけで、色眼鏡で見られるし、脅迫も受けるし、嫌がらせもされるし、仕事も失うんですよ。私みたいなこと言っていると。だけど、やっぱりやり続けるしかないんですよ。
雨宮
私の場合は、右側の人から何か言われたりということはあまりないです。逆に言うと、日本の若者たちがここまで将来に希望を持てない世の中になっているということに関して、右派の人たちはもっと怒っていいと思うんです。彼らの窮状は明らかに政治の失敗であり、グローバリズムやネオリベラリズムに翻弄されまくっている結果です。だからこそ、私のもとにはたまに右派の心ある方々が若者の雇用問題について意見を聞きに来たりということもあり、そこには期待しています。戦争に駆り出されて死ぬための貧困層が作られているなんて、どう考えてもとんでもないことですから。いろいろな立場の人と冷静な議論をしたいと思っています。
編集部
長い時間、どうもありがとうございました。
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─対談を終えて─
私は心の荒んだ人と付き合い過ぎていたのかもしれない。雨宮さんと対談してそう思いました。ちょっと被害妄想になっていて、どうしてみんな自分のことしか考えないんだ、なぜ若者は簡単にだまされてしまうのか、と暗い気分になっていたのです。ただ、こんなに優しくて、こんなに感受性が豊かで、きちんと自分の頭で考えて、世の中のために戦っている人がいるということに、とても心強い思いをしました。雨宮さんの言葉に励まされて、もうしばらく、平和と平等を獲得するための戦いを続けようと思います。(森永卓郎)
今回、森永さんと対談させて頂き、その「わかりやすさ」ぶりに驚いた。森永さんは決して「専門用語」を使わない。日常のわかりやすい言葉でこの国の経済、政治、そして私たちの状況について鮮やかに噛み砕いてくれる。話しながら、何度も目からウロコだった。そして対談で一番衝撃だったのは、「戦争中、人を殺すことほど面白いことはなかった」と告白したという人の話。彼にそう言わせてしまった「戦争」。この言葉を聞いた時の苦い味を、私は一生、忘れないと思う。(雨宮処凛)