映像の力には、いつも圧倒されてしまいます。
今度の選挙の大きな争点は「改憲」。でも、「そもそも憲法って何?」とか、「憲法は難しいもの」というイメージを持っている人が多く、伝えるのが難しいと日々感じています。だからここは、良質な映像作品の力を借りたい。
今、全国のロードショーに加えて、自主上映会でもあちこちで公開されている『不思議なクニの憲法 声をあげる 私たち』(2016年/松井久子監督)、私も先日観てきて、これは憲法ビギナー(?)の方たちに、ぜひ観て欲しい映画だと思いました。マガ9にも登場いただいている先生たちが、外交、ジェンダー、安全保障、立憲主義などについて、それぞれの立場から憲法をめぐるあれこれについて語り、さらに、普通のお母さん、学生の方たちが国に対して「憲法を守れ」と熱く声をあげています。全編を通して竹下景子さんの語りかけるような優しいナレーションが、「憲法」の敷居をぐっと下げてくれていると感じました。できれば、選挙の前に、見て欲しい…。一人でも多くの人に。お友達をさそって。
私がなぜそのように考えるかと言うと、私自身が憲法映画を観て、本当に目からウロコがバラバラと剥がれおち、今に至る(マガ9のスタッフを10年もやっている…)という経験をしたからです。その私にとって忘れられない憲法映画は、その名もずばりの『映画 日本国憲法』(2005年/ジャン・ユンカーマン監督)です。この映画が公開されたのは、マガジン9がスタートして、まだ間もない頃でした。日本国憲法がどうやって制定されたのか、について何も知らなかった私にとって、その成り立ちについてのストーリーは、スリリングであり感動的でした。特に、ベアテ・シロタ・ゴードンさんが画面に登場し、流暢な日本語で、「私は戦前、日本に住んでいましたが、日本の女の人には、まったく人権がありませんでした」と語るのを観て、この人が24条を書いたのか! と驚愕し、エンディングロールでは感激して涙が止まらない…という状態でした。憲法の映画を観て、感極まって泣くって、どれだけ左翼なの? と誰かに突っ込まれそうですが、それまで右と左の違いも知らない、まったくのノンポリでした。
ノーム・チョムスキーやジョン・ダワーら世界的な知の巨人たち(といっても、それらの偉人についても、私はほぼ知らない有様でしたが)が、日本のこの憲法へのリスペクトや期待を語る様子を見ていると、私はなぜかすっかりと誇らしげな気分になっていたのでした。たぶんこれが「愛国心」なのでしょうか。この映画のキャッチコピーは、「世界から見たわたしたちの憲法 あなたには、この宝物がみえますか」ですからね。
とにかく、私はこの映画やジャン・ユンカーマン監督との出会いがないまま今に至っていたら、もしかしたら「押しつけ憲法論」をうっかり信じて、「日本人が考えて作った自主憲法が必要」などという考えに取り付かれたかもしれない、そんなことを思ったりもします。
その後、マガ9では、ジャン・ユンカーマン監督へのインタビューを行う機会を得て、そして昨年は映画『沖縄 うりずんの雨』についての、座談会も行いました。
この度、そんなジャン・ユンカーマン監督の映画監督30周年を記念しての特集上映会が、7月9日(土)より開催されます。彼の映画を観たことがある人も、まだの人も、この機会に是非、足を運んでみてはいかがでしょうか? 鑑賞券の読者プレゼントもありますよ!
(水島さつき)
「ジャン・ユンカーマン特集上映会」の鑑賞チケットを、5組10名様にプレゼント!
7月9日(土)より東京・ポレポレ東中野、7月30日(土)より大阪・シアターセブンほかで公開。→概要はこちら
【応募方法】
件名を「ユンカーマン特集/鑑賞券希望(マガジン9)」とし、
本文にお名前・ご住所・年齢・電話番号・メールアドレスを明記の上、
info@regard-films.comまでメールでご応募ください。<ご応募締め切り>2016年7月5日(火)17:00まで
※当選発表は、招待券の発送をもって代えさせていただきます。【お問い合わせ先】
リガード(担当:西)
TEL:090-6187-7110 Mail:info@regard-films.com
(マガジン9では、試写会招待についてのお問い合わせを受け付けていません。ご了承ください)
「不思議なクニの憲法」見ました!。
松井監督がお越しになって大盛況でした。