- 特別企画 -

【スタッフコラム】

福島原発さいたま訴訟報告(8)

福島原発さいたま訴訟を支援する会
北浦恵美

 福島原発さいたま訴訟の次回期日は、6月22日(水)午後3時からです。第11回目の期日が開かれます。

 4月13日の第10回期日は、皆様のおかげで傍聴席がほぼ満席となりました。本当にありがとうございました。
 期日では、まず原告側より、今回の原発事故によってこれまでの平穏な暮らしを突然奪われた原告の皆さんの避難の正当性についての主張と津波の予見可能性についての国の主張に対する反論が陳述されました。

 土壌、川、海、農作物、動植物その他ありとあらゆる自然環境が汚染されました。これらの汚染による健康被害を回避するために、政府の避難指示の有無にかかわらず、避難し、あるいは、経済的事情、家庭事情により、健康被害におびえながら被ばくを受け、多大な損害が生じたこと。それら追い詰められた原告らの避難は正当なものである、と主張しました。
 また、津波の予見可能性については、国が、自ら設置した専門家による「長期予想」に基づく津波予想について、信頼性がないなどとするあきれた書面を提出したことについて、これを厳しく批判しました。

 続けて行われた報告集会では、今後、避難の正当性についての主張を丁寧に積み重ねていく予定だ、という弁護団からの説明がありました。

 原発事故による被害は、一人ひとりの被害者の人生を大きく狂わせました。それにもかかわらず、国が避難を指示した区域外からの避難者(いわゆる自主避難者)への住宅支援を来年3月までで打ち切ろうとする政策がすすめられています。
 この問題を深く追及し、『ルポ 母子避難――消されゆく原発事故被害者』(岩波新書)を書かれた吉田千亜さんは、そもそも国や東電は「償い」をしなければならないのであり「支援」という言葉自体おかしい、と指摘しています。
 区域外避難者はきちんとした賠償も受けられず、この住宅支援策が唯一の「償い」でした。住宅は生活の基盤であり「来年4月以降の見通しが立たない」と多くの避難者が悲痛な声を上げています。
 あらためて、一人ひとりの被害者の実情に心を寄せることが求められています。

 「私たちは、何気ない日常を一瞬にして滅茶苦茶にされました。私たち避難者は、避難をしたくてしたのではありません。動きたくもないのに、無理矢理、移動させられたのです。勝手に私たちの生活を奪っておいて、きちんと責任を取ろうとしない。一体、どういうつもりなのでしょうか」

 「不自由なく、一生過ごす事が当たり前だったはずの生活を奪われました。この原発事故で、仕事も奪われ住宅ローンの支払も出来なくなり、借金地獄となり、私の人生が変わってしまいました」

  「裁判官の皆さんには、どうか想像力を最大限働かせて、この原発で避難を余儀なくされた人の立場に立って、そして、公正な判断をして欲しいと思います。そしてこのような事故が二度と起こらないようにして欲しい」

  以上は、いずれも福島原発さいたま訴訟の口頭弁論における原告たちの言葉です。

 裁判所に公正な判決を求めるための署名も集めることになりました。ぜひ、多くの方のご署名をお願いいたします。署名用紙のダウンロードはこちらからできます。

 毎回の裁判の傍聴にぜひご参加ください。満席の傍聴席が、原告と弁護団を勇気づけます。次回期日は6月22日(水)午後3時からです。


〈福島原発さいたま訴訟第11回口頭弁論及び報告集会〉

とき:6月22日(水) 午後3時開廷  さいたま地裁101号法廷
※傍聴券が配られる予定です。2時半までにさいたま地裁B棟前においでください。

※裁判終了後弁護団主催の報告集会があります。
場所:埼玉総合法律事務所3階会議室
内容:口頭弁論期日の説明、原告側の主張の概要

次回以降の期日も決まりました。
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次回以降の期日
8月10日(水)午後3時
10月5日(水)午後3時
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〈これまでの関連コラム〉
→ 2017/03/15 福島原発さいたま訴訟報告(10)
→ 2016/08/03 福島原発さいたま訴訟報告(9)
→ 2016/06/15 福島原発さいたま訴訟報告(8)
→ 2016/04/06 福島原発さいたま訴訟報告(7)
→ 2016/01/20 福島原発さいたま訴訟報告(6)
→ 2015/11/18 福島原発さいたま訴訟報告(5)
→ 2015/06/24 福島原発さいたま訴訟報告(4)
→ 2015/06/24 福島原発さいたま訴訟報告(3)
→ 2015/04/15 福島原発さいたま訴訟報告(2)
→ 2015/02/11 福島原発さいたま訴訟報告(1)
→ 2014/11/26 福島原発さいたま訴訟に思うこと
→ 2014/05/28 福島原発さいたま訴訟、第1回期日とその支援のこと

 

  

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