映画、テレビ、舞台と幅広く活躍してきた女優の木内みどりさん。
3・11以降は、脱原発についても積極的に活動しています。
脱原発への思いや憲法のこと、政治や社会参加についてなど、
日々の暮らしや活動のなかで感じていること、気になっていることを
「本音」で綴っていただきます。不定期連載でお届けします。
第32回
バリ島のニュピ
バリ島に来ています。
川のせせらぎとそよぐ風。
全身が浄化されていく。
誰とも喋らずなにも考えず、
ただいるだけの時間。
今日はogoh ogoh (オゴオゴ)。
村単位で悪霊追放の勇壮で攻撃的な張りぼてを拵え、男子が肩に担いで村を練り歩く。
何日もかけて作った張りぼてなのに、
終わりには火を付け燃やしてしまうそう。
桜が散ってしまうから心を動かすのに似て、この祭りも、その儚さが魅力のよう。
わたしも、ここ、Ubud(ウブド)の ogoh ogoh 練り歩きを見に行くつもり。
みんなお酒を飲んで騒いで、
草臥れ切って眠ったら、明日はNyepi(ニュピ)。
明朝 6:00から明後日 6:00までの24時間、
外出禁止、
電気使用禁止、
火も使ってはならず、
自動車・バイク禁止、
違反すると罰金。
空港の離発着もなし。
外国人ツーリストも外出禁止!
ほとんどのバリ人が断食し瞑想して過ごすそうです。
厳しい人は水も飲まずひと言も喋らないそう。
「dead island」になると言っていた。
24時間、活動の全てを停めて、
静かな時間を過ごすことによって
バリ島全体を浄化する。
そうして、サカ暦の新年を迎える。
しかも、明日は、皆既日食!
わたしが生きてる間でこんなことは、もう、なさそうだから、
それを知った去年の3月末からこのニュピ体験旅行を計画してきた。
ううぅ、いよいよ、迫ってきました。
「ニュピ」は、ヒンドゥー教の暦でのお正月。そして、「オゴオゴ」はその前夜に行われる悪魔祓いの儀式だそうです。静かで真っ暗な時間を、何もせずに過ごすなんて、新しい年を迎えるにはふさわしい過ごし方にようにも感じます。日本もたまには経済活動をしない日があったらいいかもしれない、と想像してしまいました。