映画、テレビ、舞台と幅広く活躍してきた女優の木内みどりさん。
3・11以降は、脱原発についても積極的に活動しています。
脱原発への思いや憲法のこと、政治や社会参加についてなど、
日々の暮らしや活動のなかで感じていること、気になっていることを
「本音」で綴っていただきます。月2回の連載でお届けします。
第8回
2015年、始まりました
前回のコラム「はい、わたし、学習魔です。」からひと月近く経ってしまいました。ま、このコラムが2週に1度でも2年に1度でも、誰ひとり困らないことですが。2015年も気楽な独り言をこんな風に書いていきますので、お読みくださったらうれしいです。
1月5日、経産省前テントひろばで本年初の記者会見、司会しました。
「東京新聞」と「しんぶん赤旗」が記事にしてくれました。
司会者というのはゲストがスピーチされている時、ヒマです。
だから、気づきました。経産省前のこの交差点は二車線が交わる大きな交差点です。その交差点に面していますから信号待ちの車は停車している間、わたしたちの様子を見ています。二階建て観光バスに乗っている外国人観光客も乗りだしてこちらを見ています。指差して何か言っています。カメラで写真を撮っています。
ふと、自分の背景を振り向いて気がつきました。あちらから見える光景の中に英語表記がありません。
「Don’t forget FUKUSHIMA」とか書いてあれば、なんのためのテントなのか、新年早々、朝早い寒風の中で何をしているのか、きっと、分かって貰えます。旅行から帰ったら、撮った写真を友達に見せて説明してくれるかも知れない。やっぱりここにこそ、英語表記のものを作らなければ…。
わたしに「司会をして」と依頼してくださった「テントひろば」の方に提案しました。「わたしはその係じゃないからわからない。あの女性がつくったから聞いてみて」。その小柄な年配の女性に提案しました。
「そう、英語のね、そうそうあったほうがいいですよね〜〜、うぅ〜ん、でも、手が足りないし、キウチさん、あなたがやってください」。
うぐっ、うぐぐ、そうなるか〜〜。「はい、わたしが作りますっ」ということで、はい、ひと仕事、増えました。
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わたしの人生の中での「驚きBest10」に入る出来事、2013年6月にLONDON日本大使館前で英語で脱原発スピーチしたことでつながった英国の反原発グループ「JAN UK」。このグループに英語のバナーを送りました。
「さようなら原発 1000万人アクション」@亀戸中央公園集会で使ったバナー。ずっと英語表記のバナーを作ってくださいとお願いしてお願いしてお願いして、やっと、作ってもらったものです。これを集会が終了したらそれでお終いと捨ててしまうのはもったいないから、英国グループに届けたいとお願いして貰いました。大きな梱包ですし、丁寧に梱包されているからそのまま英国に送りました。
ところが、こんなものだったのです。
「Don’t forget FUKU」と半分で切れてたんです。
あぁ〜これじゃ何の役にも立たない〜〜! 誰がこんないい加減なことしたの…と不機嫌になる気持ちを抑えて、もう半分の片割れを見つけ出し、梱包して、再度、英国に送りました。
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1月9日、世田谷区議選に挑戦することになった岡田哲扶さんと対談。山本太郎さんや三宅洋平さんの選挙を動かしてきた方で『三宅洋平〜選挙フェスの作り方』という本の著者です。
大量に印刷するフライヤーに載せる対談をしました。
4月26日投票日。世田谷区民の方々、岡田哲扶、「岡田てつお」を覚えてくださいませ。
対談と岡田哲扶さんとのツーショット撮影の後、経産省前テントひろばへ。どこに掲げるのか、どのサイズにするのがいいのか。外装のプロと一緒に現状把握。写真の左の女性がこのテントの外装を仕切っている玉中恭子さんです。素人です。白いビニール幕に赤や黒のビニールテープを切り貼りして文字にしています。
玉中恭子さんと石丸敏子さん
そう、ここでは何もかもが「臨時」で「持ち寄り」。そして、みなさん、高齢です。テントが張られた2011年9月11日から1144日。「原子力発電はもうやめよう」との思いが全国から集まってテントになり、その時々の人々がその時々できることをしてきて、やっと成立・継続しているのです。
政府や東京電力、顔の見えない圧倒的な力に抵抗するには本当にか細い、微かな力です。でも、考え出すとキリがないから、「微力であっても無力ではない」という言葉を支えにみなさん、ギリギリの奮闘を続けてらっしゃいます。
ここにどんな英語表記が最適か、英国人と米国人数人に教えてもらってたどり着いた言葉は、やはり「Don’t forget FUKUSHIMA !」。福島で起きたことを忘れないという意味と、福島の方達の苦難を忘れないという意味と、「HIROSHIMA-NAGASAKI-FUKUSHIMA」とつなげていく効果とがあるからです。
外装のプロ・真島辰也さんにお願いして現場を見て頂き、実際のサイズを測ってもらいました。
玉中恭子さん、真島辰也さん、事務局・垣内成子さんと。
出来上がったら、報告しますね。
わたしは心の狭い女なので、できれば出来事は1日ひとつ、せめて、ふたつであって欲しいと思うのですが、今日この頃は、毎日毎日濃い出来事が展開していくので心がアップアップ息苦しい時間が続きます。
沖縄・辺野古での、この「殺人鉄板」を知った時は目の前が暗くなるような怖ろしさで震えました。
この上で座るなど容易ではありません。底の厚い靴を履いていても痛いそうです。こんなものを考える人がいて溶接する人がいて、どんなものか知っていて扱う業者がいて運搬する人がいる…。
米軍キャンプ内に待機する機動隊が、ここに寝転んでる反対派の人々を引っこ抜こうとしている様子をツイキャスで見ました。反対派は「私たちはここに寝転んで唄を歌っているだけ!」と叫んでいます。辺野古に行けない何もできない役立たずな自分に苛立ちが募ります。
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フランスでのデモ。370万人! 3,000人でなく30,000人でなく300,000人でなく3,000,000人と700,000人!
Parisでは、Paris市民は220万人でデモ参加者が150万人。150万人参加のデモ!
東京にはあれだけの巨大デモをする「場所」がない…と思いたかったのですが、それは間違い、場所はあるのです。皇居前広場。パリの共和国広場は3万3,000㎡、ロンドンのトラファルガー広場は1万2,000㎡、北京の天安門広場は44万㎡、皇居前広場は芝生を含めて46万5,000㎡で、天安門広場より広い! 場所はあるのですが…実際に…行動する人が…少ない…。そこが最大の問題。
150万人を超す人々が抗議の声をあげて皇居前広場を埋め尽くす、そんな日を夢見て、これからも自分にできることをジリジリと…。
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1月19日「ガイアシンフォニー 地球交響曲第八番」ナレーション録り。
このシリーズ、第一番・二番・三番・四番とナレーションしてきて、五番・六番・七番と離れていました。が、この第八番が最後となりそうとの連絡で参加させていただくことになりました。
わたしの向かって右隣りが監督の龍村仁さん。自転車歴50年以上でYOGAの達人。仙人のように細くて強靭。「ガイアシンフォニー 地球交響曲 第八番」は3月公開。東京は、渋谷シネマライズ。名古屋は、伏見ミリオン座。大阪は、シネ・リーブル梅田で上映。
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1月24日。「川内・高浜原発を再稼動させない! 東京集会&デモ」@豊島公会堂ホール、司会。この日、お隣りの建物、豊島区民ホールでは小出裕章さんの講演会があったのですが、時間がずれていて参加不可能。控え室に伺ってご挨拶くらいしたかったのに、まことに、残念。
いつものTシャツで。
客席の550名の方々にご賛同いただいて「 I AM KENJI 」「 WE ARE KENJI 」。
1月29日現在、後藤健二さんはまだ拘束されたまま。どうかご無事で帰国されますように。
この原稿を書かれた1月29日時点の最後の一文が、今読むと心に刺さります。それにしても、2015年が始まってまだ一カ月しか経っていないのに、本当にいろいろな出来事が起こっています。それでも、あきらめずに「自分にできることをジリジリと」やっていくことが、変化につながっていくと信じるしかありません。
以前の記事で、3,11の後小出さんにたどり着いた。小出オタクで、真似もできる。小出さんの所に綺麗な酸素があるようだ…。と、第1回に書いてありましたね。そこがとっても印象に残っています。
皇居前広場でもし集会ができたなら、もしかしたら天皇ご夫妻も参加していただけないかな?なんて思ってしまいました。心はきっと共にある方々だと思います。
@kazenosaburouさま
書き込み、ありがとうございます。
そうなんです。
小出 裕章さんのおっしゃったことを聞いたり読んだりすると「きれいな酸素」が吸えます。✨
幸運なことに先日、小出 裕章さんと対談をさせていただきました。
2月26日発売、「ラジオフォーラム」←タイトル、よく調べます。
岩波書店刊行です。
@kazenosaburouさま
ここにコメントを書くのですね。
まだ、慣れていないのですw
わたし、宮沢賢治大好き。
NHKで「銀河鉄道の夜」全編、朗読したことがあって、その朗読を真っ暗闇の中、満天の星を眺めて聴くのが大好きです。
興味ありますか?