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その22
今週の「暴走ツッコミ」↓

 さて、ツッコミ人としては、1週間のご無沙汰でした。人並みに、夏休みなんかをとらせていただきまして、沖縄に出かけてきました。台風に少しだけ遭遇しましたが、それなりに楽しんでまいりました。沖縄の現実にも出会いました。その感想などはいずれブログで書きます。で、ツッコミを1回お休み、すみませんでした、ペコリッ!

 で、前置きはこれぐらいにして、さっそくツッコミたいところですが、なんせ8月8日、
突然の「小泉ジャイアン解散」(ツッコミ人の命名)で、新聞もテレビもこれ一色。したがって、今回は特定の記事を引用しません(どれを見ても一緒ですもんね)。

 それにしても、何がなんだかさっぱりわけが分からない。だって、自民党の総裁でありながら「旧(ふる)い自民党をぶっ壊す!」と雄叫びをあげるジャイアン首相。それに対して「郵政民営化そのものには反対ではない。しかし、小泉首相の強権的手法には賛成できない」と造反派。そんな御仁を総裁に選んだ自民党員の責任はどうなるの? また、自分の拠って立つ基盤をぶっ壊すと喚(わめ)く総裁の責任はいかに? とツッコミたいところですが、
なんだかムナシーなあ。
 ここだけを見れば、「旧い自民党」とそれを改革しようとする「新しい波」とのせめぎあい、というようにとれないこともありません。しかし、
小泉さんは、果たして「新しい波」だったのでしょうか?

 彼が首相としてやったこと、
それは、ほとんど「戦前回帰」とでもいうような、きわめて「旧い」政策ばかりだった。決して新しくなどなかった。

 周辺事態法、盗聴法、住民基本台帳法、自衛隊法改正、イラク特措法、アメリカ追随政策の強化と沖縄米軍基地移転の放置、靖国神社公式参拝とそれに伴う近隣諸国との軋轢(あつれき)、年金制度の改定、大増税への道筋、大国化を目指しての国連安保理常任理事国入り(これは見事な大失敗、近隣諸国とさえ仲良く出来ない国が、どうして常任理事国などになれるのか。もし、これが成功するなどと考えていたとしたら、まったくの外交オンチ、政治家などお辞め、と言いたくなる)。そして、ついに自民案がベールを脱いだ。凄まじい内容の憲法改定案。さらに戦前の教育を復活させようとするような教育基本法改定への意欲……。
どれをとっても、国民を縛り、自由を制限し、負担を強い、最終的には国民間の格差を拡大させ、国際的にも孤立するような政策ばかり。

 これらのいったいどこが「新しい波」「骨太の改革」なのでしょうか? 郵政改革という「新しさ」を装った法案の陰で、これほど多くの「旧体制的・戦前回帰的」政策が続々と作られ、そして現実化していきつつあるのです。

 
挙句の果てには、「ブッシュの言いなりイラク派兵」。派兵地のサマワの状況は悪化の一途。ついに、自衛隊はほとんど巣ごもり状態。人道的貢献なんか、まったく出来ない状況に追い込まれています。
 そんな派兵に反対する人たちには「反日分子」(ちなみに、この言葉を使ったのは、今回の参院で反対票を投じ、英雄気取りでTVなどに出まくっていた柏村武昭さんという議員さんです。お忘れなきよう)や「非国民」などという言葉が投げつけられ、政府みずからが彼らを「自己責任」などという薄汚い言葉で非難した。さらに逆らうビラを撒いたというだけで、逮捕、長期間の拘留。国民から、物言う自由が奪われつつあります。そういう風潮を作り上げたのは、やはり小泉さん、あなたでしょう。

 
かつて、こんなにきな臭い政治家はいたでしょうか。

 「戦後政治の総決算」を叫んだ中曽根元首相でさえも、近隣諸国との軋轢を避けるために、靖国公式参拝は一度で中止しました。「私の任期内では、憲法改正は行わない」と語らざるを得なかったことも事実。
 ところが小泉さんは、歴代の首相たちが封印してきた「危ない政策」を一挙に解き放ったのです。
これほど「旧い政治家」はいなかった!
 「パンドラの函(はこ)」は開けられた。底に「希望」は、果たして残っているのでしょうか。

 ライオンヘアを伸ばし、オペラや映画を愛し、料亭政治を嫌い、クールビズがお似合い、というだけで新しいのでは決してない。何を作り何を実現し、国民の生活や自由をどれだけ守ってくれたか、新しさはそういう視点で考えるべきです。

 小泉さん、あなたはけっして新しい政治家なんかじゃありませんよ。カッコウだけは、旧い自民党政治家よりは新しく見えました。しかし、頭の中は、ゴリゴリの復古型、旧い古いフルイ考えが渦巻いているのでしょう。オペラ調で「教育勅語」かなんかを歌っているのかもしれませんね。

 「戦後は終わった」と語った政治家がいました。しかし小泉さん、
あなたは「新しい戦前」を作りつつあります。

 選挙です。戦前を目指すような政治家にだけは、少なくとも私は投票しません、絶対に!

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