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その17
今週のネタはこちら↓
●朝日新聞6月25日夕刊
沖縄戦の日本側防諜対策
米軍協力者殺害、指示か
米英軍文書に記述 

<略>米軍文書は、沖縄を攻略した米軍の軍政司令部の45年6月29日付の「情報報告書」。沖縄県公文書館が米国立公文書館で入手、保管していた史料のなかから、関東学院大の林博史教授(現代史)が5月下旬に見つけた。
 英軍文書は、林教授が昨年、英公文書館で入手。沖縄上陸作戦を行った米第10軍司令部の45年6月19日付文書を抜粋する形で、日本側からの没収文書として紹介されていた。<略>
 米軍文書で報告されている「指示」は9項目。その一つに「敵占領地域の者たちについて極秘裏に捜査せよ。敵への協力者を発見した場合は殺すか、しかるべく処置せよ」とあった。占領地域の人々を利用して、敵陣営を混乱させるように指示する項目もあった。<略>
 日本軍は主力部隊を本島南部の戦線に置いたため、手薄になった国頭郡にはスパイ戦、ゲリラ戦を任務とした部隊を配置。45年3月には住民を組織して秘密特務機関「国士隊」を設置した。林教授は「文書の発想は、住民をスパイ視し、摘発に住民を利用した『国士隊』にみられる軍の論理と共通する」と話す。<以下略>

 2週前の『マガジン9条』トップページに、「軍隊は国民を守らない、国家という体制を守るのだ」とありました。それを、見事に実証するような記事だと思いました。
 だいたい「敵への協力者」を、いったいどうやって特定するのですかっ! 軍や警察がいちど「アイツは怪しいぞ」と決めたら、もうその人は殺される運命にある、ということになる。実際に沖縄では、そういう状況が展開されたという証言がたくさんあります。
 百歩譲って仮にその人が「敵への協力者」であったとしても、何の証拠もなしに、軍や警察の恣意的な思い込みで「しかるべく処置」されていいわけはありませんよね。ましてや、権力側に不都合な人間を一方的に「敵への協力者」に仕立て上げることなど、絶対に許してはなりません。しかし、このような「権力犯罪」は、戦中の「横浜事件」(編集部注:1943年〜1945年にかけて起こった言論弾圧事件。出典wikipepdiaなどに見られるように、私たちの国でもかつて頻繁に行われたのです。
  最近、「非国民」だの「売国奴」だの、一部の雑誌やワイドショーのコメンテーターなどにいたっては「国を売ったA級戦犯」だのという、まるで戦争前夜みたいな際どく、きな臭い言説を大いに吹聴しています。
 わが首都のマッチョ知事や、人気上昇中(?)の安倍自民党副幹事長などは、こんな風潮の先頭に立っています。
 そして、この煽動の行き着く先は、まずは「敵への協力者の逮捕」でしょう。「殺されないだけましなんじゃないの」なんて、笑っていられますか? 反戦ビラや政党の宣伝ビラを撒いただけで逮捕され、長期間の拘留を食らった、などという事例がすでに何件か起きています。

  軍が国民を守るために存在するのではないという事実が、これほどあからさまに報道されたこともあまりない。国策に歯向かう者は、容赦なく「処置」する。それが、国家の論理、国家を支える軍の論理なのです。
 憲法9条を改定し、「自衛隊」を「国防軍」と明記してはっきりと軍隊として、その存在を認めようという意見の危うさが、ここからも見えてきませんか?
「隊」が「軍」へと変質したとき、いったい何が起きるのか。

   私たちの日本国憲法は、まさにそのような権力のやりたい放題を縛るために存在していると考えるべきです。
  何度でも、繰り返し繰り返し言い続けたい。もう一度、憲法9条の重みを考えてみませんか?
イラスト
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