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2012-12-19up

下北半島プロジェクト
下北半島発・一人芝居「こころに海をもつ男」を東京で上演したい!

第25回

総選挙で考えたこと

 選挙を機にぱらぱらとめくった政治学関係の本。『社会契約論』のなかでルソーは次のようにいったそうです。「イギリス人民が自由なのは選挙する間だけのことで、選挙が終わるやいなや、イギリス人民は奴隷となる」。一方、『現代政治理論』(有斐閣アルマ)のなかでは経済学者シュンペーターの主張として次のように書かれてあります。
 「シュンペーターによれば、デモクラシーはむしろ、どの政治家に政治を任せるかを決める制度としてとらえられるべきである。人々は1票を行使するが、それは政策を自分たちで決めるためではない。誰に政策判断を委ねるかを決めるためなのだ。人々には難しいことはわからないが、難しい判断をできるのは誰かを判断することはできる(なぜそれだけは可能といえるのか、シュンペーターは明らかにしていない)。候補者たちは、得票を競争しあい、その結果、他の候補者より多くの票を獲得できた政治家は、政治権力を掌握し、自らの判断に基づいて政策を決めればよい。その際、一般の人々は一切口をはさんではいけない。彼らの役割はもう終わったのである。もし選んだ政治家が期待はずれであっても、次の選挙で落選させるまでは、彼に政治をまかせるほかはない。デモクラシーとは、(かつてそう誤解されたような)民衆による統治ではなく、政治家による統治なのである。」

 そもそもわたしたちはどういった動機付けによって、今現在の制度でもって、何を、達成しようとしているのでしょうか。「どの政治家に政治を任せるかを決める」ためでしょうか。「政治家による統治」を達成することでしょうか。また、デモクラシー論内部の対立軸のひとつに、「人々の意見を誰かが代表することは可能か、それとも代表は不可能で、直接に表明されなければならないのか」という代表可能性をめぐるものがあるそうですが、「わたし」の意見を誰かが代表することは、可能なのでしょうか。

 原子力発電所やその関連施設など。かつては、一番はじめに反対の声をあげたひとたちがいたということ。「そこ」に営々と暮らす「わたし」たちの声はなぜ、どのようにして、どこにいったのでしょうか。いまいちどわたしたちの社会への関わり方を考えると、実質的には「誰かにお任せ」な姿がみえてくるような気がします。そういったひとつひとつを読みほどいていくことは、地域の分断や対立を生みながら原子力施設もろもろをつくることを可能にした(している)構造を理解する助けにもなるように思います。つまり、他者の存在、他者の日常生活、他者の人間性、そういったことを考えることすらお任せにして遠くなってしまっていた(る)のではないか、そのことが現状の根本に大きく横たわっているのではないか、と思うのです。

 他者に対する共感。共苦。改めて求められていることのように思います。見過ごされてきた「他者」に、芝居によって「出会う」こと。そこから、とりもどしてゆきたいと思うのです。

(Y子)

☆愚安亭遊佐さんのひとり芝居に寄せてメッセージをいただきました!

・愚安亭遊佐さんの芝居を観た時、胸がスーッとした。(鎌仲ひとみ/映画監督)
・30年前「核・原発だけはいらない」と愚安亭さんと共に私たちは叫んでいた。(保坂展人/ジャーナリスト・世田谷区長)
・これは、下北漁民抵抗の魂だ。(鎌田慧/ルポライター)
・海の遺恨を背負った役者、愚安亭遊佐さん。(島田恵/フォトジャーナリスト・ドキュメンタリー映画監督)

→詳しくは、こちらのページをご覧ください。

愚安亭遊佐 公演 『こころに海をもつ男』

【日時】2013年1月19日(土)開場18:00/開演18:30(終演20:30)
【場所】北とぴあ 15階 ペガサスホール
(JR京浜東北線王子駅北口徒歩2分、東京メトロ南北線王子駅5番出口より直結)
【料金】一般3500円 学生3000円(全席自由・定員150人)

※託児あり(要予約/1人300円)。1月8日(火)までに利用人数をお知らせください。
※障がい者の方は、介助者1名無料。 ご予約時にお知らせください。

参加お申し込みはこちらから!

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各方面から愚安亭遊佐さんの芝居に寄せてのコメントをいただきました。
これを読むと、ますますお芝居を観るのが楽しみになってきました。
東京公演はお久しぶりになりますので、この機会に是非、お運びください。

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