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2012-12-12up

下北半島プロジェクト
下北半島発・一人芝居「こころに海をもつ男」を東京で上演したい!

第24回

むつ小川原開発の「仕組み」を学びたい!

先日行われた「マガ9おしどり教室」に
聴講生として参加したA子ちゃんとY子ちゃん。
質疑応答コーナーの最後には、
上演会のアピールもしっかり行いました!

 12月8日、おしどりさんが講師のマガ9学校に行ってきました! この日のテーマは「水俣病・アスベスト・原発事故」。一見バラバラだけど、とてもよく似ている社会問題の共通点を考えるものです。下北半島プロジェクトの『こころに海をもつ男』にも通じる話題がたくさん出てきました。

 ゲストの澤田慎一郎さんは、アスベスト訴訟や補償の支援をしている方。「アスベストによる健康被害は、実は早い時期からわかっていた。1987年に官公庁の建物では使用禁止されていた。しかし、一般のビルや住宅建設でアスベストが禁止されたのは2000年だった」とおっしゃっていました。
 もう一人のゲスト、福島県小野町から来てくださった秋場有里子さんは「子どもに甲状腺の検査を受けさせたい。エコーじゃなくて、ホルモン数値のわかる血液検査を。でも医師は『国の指示で県の検査も始まるし…ごめん、わかって』といって検査をしてくれない」と報告されていました。
 そして、おしどりマコさんは「精神的な植民地みたい。日本では使わない原発をアジアに輸出する話にも通じる」と話され、私はがくぜんとしました。どれもこれも、青森県で起きた「むつ小川原開発」と同じような仕組みだったからです。

 むつ小川原開発は、六ヶ所村一帯に石油コンビナートや造船所などを誘致しようとした大規模開発計画。1969年に閣議決定され、「世界最大の開発」と言われた国家プロジェクトでした。
 村の地価は高騰し、人々は土地を売って、漁師たちは漁業権を手放しました。青森県出身のジャーナリスト・鎌田慧さんの『下北核半島』(岩波書店)には、「開発予定地内の部落選出の村会議員たちは、不動産業者と結託していた。地域のボスともいうべき彼らが、土地ブローカーの手代となっていた。それに背いて抵抗するのは難しい。こうして、まもなく部落ぐるみの移転が始まった」とあります。
 ところが、1973年のオイルショックにともなって開発計画は頓挫。代わりにやってきたのが、核燃料サイクル施設でした。新聞などでは、開発に失敗した六ヶ所村が自らの意思で核燃料サイクル施設を招き入れたかのように言われていましたが、実際はもっと根深い問題のようです。2000年3月23日の東奥日報によると、青森県の委託を受けた日本工業立地センターが1969年にまとめた「むつ湾小川原湖大規模工業調査報告書」には、こう書かれているそうです。
 「わが国で初めての原子力船母港の建設を契機とし原子力産業のメッカになり得るべき条件を持っていることである。当地域は原子力発電所の立地因子として重要なファクターである地盤および低人口地帯という条件を満足させる地点をもち、大規模発電施設、核燃料の濃縮、成型加工、再処理等の一連の原子力産業地帯として十分な敷地の余力がある」
 むつ小川原開発計画がダメになるもっと前から、六ヶ所村を原子力産業地帯にすることが検討されていたわけです。アスベストの件と同じように、国は地元の人に問題を押し付けていた……。

 私は、なんだかんだいって「国は国民に対して、それほどひどいことはしないだろう」と思っていました。何の根拠もありませんが、毎日ご飯を食べて、夜は安心して眠れるのが当たり前だと思い込んでいました。だけど、それは自分の周りがたまたまそうであっただけでした。核燃施設だけでなく、アスベストも甲状腺検査も、すべて大きな力に押されて、住民たちは太刀打ちするのが困難な仕組みになっていました。
 当時の状況を学ばなければ、私は前に進めません。
 『こころに海をもつ男』は、六ヶ所村で、むつ小川原開発の波に呑まれ、海を捨て、不動産屋の手先になった1人の漁師の物語です。不動産屋の手先として土地買収のお先棒を担ぎ、一時は明るい未来を思い描くものの、その夢は頓挫する――。重いテーマではありますが、愚安亭遊佐(ぐあんてい・ゆうざ)さんが下北弁混じりでユーモラスに演じます。
 原発問題は、原子力の危険性や補償の不十分さなども困ったものですが、そもそも原発がどうやって地元に建てられたかということ、地元の人たちがそれを受け入れざるを得なかった「仕組み」に注目することが大事だと思います。みんなで歴史を振り返って「仕組み」を理解しておかないと、原発に限らずまた同じような何かを押し付けられそうで怖いです。
 1月19日(土)北とぴあ、愚安亭遊佐さんの芝居を通して一緒に学びましょう!

(A子)

愚安亭遊佐 公演 『こころに海をもつ男』

【日時】2013年1月19日(土)開場18:00/開演18:30(終演20:30)
【場所】北とぴあ 15階 ペガサスホール
(JR京浜東北線王子駅北口徒歩2分、東京メトロ南北線王子駅5番出口より直結)
【料金】一般3500円 学生3000円(全席自由・定員150人)

※託児あり(要予約/1人300円)。1月8日(火)までに利用人数をお知らせください。
※障がい者の方は、介助者1名無料。 ご予約時にお知らせください。

参加お申し込みはこちらから!

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おしどりさんの話から、原発問題だけでなく、
アスベストなどの公害問題、障害者の問題…など、
さまざまな理由で困っている同士が、横のつながりを持つ大切さを感じました。
この企画も、新しい横のつながりが生み出せればいいな、と思っています。

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