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2011-12-14up

癒しの島・沖縄の深層

オカドメノート No.113

役人天国の既得権益システムは戦後一貫して変わらず、国の政治は機能マヒ

 国会は、参議院で一川防衛大臣と山岡消費者担当大臣の問責決議案を可決してさっさと幕を閉じてしまった。問責は法的拘束力のない議決だけに一川、山岡大臣も辞める気はなく、野田総理も続投を望んでいることを堂々と宣言。いわゆる閣僚人事におけるドミノ倒しが怖いのだろうし、野田総理に政治的なリーダーシップがない証明といっていい。要はリーダーとしての自信がないのだ。メディアの世論調査は操作されている可能性が高く、数字は怪しいというのが筆者の持論だが、野田内閣の支持率が急落し、テレビ朝日では32パーセント、NHKが38パーセントで、いずれも不支持率の方が上回っている。これは各社ともほぼ同じ傾向だ。財務省のダミーといっても間違いない野田総理が消費税増税に不退転の決意であることはまちがいないにせよ、国家公務員の給与削減も、議員の歳費削減も見送りで、年金の切り下げや先送りが、国民の支持を受けるわけがない。そのことは、選挙で選ばれた民意を代表するはずの政治家がわからないはずがない。選挙民にすれば裏切り行為であり、次の選挙では投票はしないはずだ。ズバリいえば、官僚の洗脳に乗せられて、冷静な洞察力や判断力を失っているだけの状況なのだ。

 官僚には国を統率する発想はあるにせよ、民意は邪魔ぐらいにしか思っていない連中だ。自分たちの利益につながれば何でもOKという国賊、亡国の連中にすぎないことは、原発被災地や沖縄の基地問題を通して見ればよくわかる。「犯す前に犯すとは言わない」発言の田中聡沖縄防衛局長の発言でもよくわかるだろう。しかし、沖縄県民がいくら怒りをぶちまけて、「田中局長罷免」を求めても、田中氏は40日間の懲戒処分でジ・エンド。処分後、防衛研究所に異動になったが、いずれは防衛省の幹部で返り咲くか、天下り人事は目に見えている。官僚に対する超甘い処分は官僚システムが築きあげた既得権なのだ。犯罪行為で起訴・有罪にならない限り、失言、暴言程度では懲戒免職になることはないのだ。天下りも含めて役人天国の既得権益システムは戦後一貫して変わらない。政治主導というスローガンが完全に空文化しているからだ。

 福島第一原発はいまだに放射能汚染水を地下に垂れ流し、原発内の貯蔵タンクもいずれ満杯になることは確実で、低濃度の汚染水を海中に流すと発表したものの、全漁連が猛烈に反発して東電の思惑はあえなく頓挫した。国が東電のために3兆円の公的資金を投入して国営化を画策すれば、東電側は新潟・柏崎刈羽原発の再稼働や電力料金の値上げで自力更生を図ると一歩も譲らない。この国の原発行政を取り仕切ってきた電力会社と経済産業省は蜜月関係から対立関係に移行しつつあるかのようだ。しかし、これまでの歴史的な馴れ合い関係をそう簡単に解消できるはずもなく、どこかで落としどころをつくって再び馴れ合い関係の継続を図るつもりだろう。何せ、原発の海外輸出という路線はしっかりと踏襲する国策を打ち出しているのだから、脱原発路線の将来は限りなく怪しいとみていい。まして、住民たちが原発以前の生活に戻ることなど、何年先になるか見当もつかない。

 いまだに、高濃度汚染地区・ホットスポットは関東地方にまで広がり、ゴミ焼却炉からも高濃度の汚染廃棄物が発生している。除染にしても国と自治体の統一的連携がうまくいかず、先々の見通しはいまだに立たない。

 この原発ひとつにしても、この国の政治は機能マヒしている。シロウトといえば、聞こえはいいが、ド素人が一番悪いのは、結局は官僚政治にいいようにやられてしまうことだ。「防衛はシロウト」と自ら公言した一川防衛大臣は、せいぜい農水大臣に起用すべきだった。農水大臣の椅子が先に決まっていたという事もあるだろうが、なぜ防衛大臣なのか、メディアも野田総理も誰一人答えられないはずだ。せいぜい、参議院の実力者・輿石幹事長の推薦があったからくらいしか言えないはずだ。輿石幹事長が小沢一郎とも人脈的に近いにせよ、この男は単なる日教祖バカである。口のゆがみは麻生元総理と一緒である。身体的なことで批判したくないが、あのゆがみは性格のゆがみとしか思えない。一川防衛大臣の前に北沢防衛大臣を推薦したのも輿石である。一川は典型的な防衛シロウトだが、北沢は確信犯的な防衛省―米国の傀儡派である。もともと、自民党防衛族と気脈を通じていたという意味では前原誠司と一緒である。親米・反沖縄派とでもいおうか。それもこれも輿石が推薦した結果にせよ、日本の国益、いや、沖縄の県益からいえば、裏切り者の代表格である。

 ま、それにしても、野田総理も実に内容のない男であることがどんどんばれてきた。野田総理が選んだ川端達夫総務・沖縄担当大臣は、沖縄知らず。中川正春文部科学省大臣は八重山教科書問題も解決できない情けなさ。安住財務相はそれこそ財務・経済に関してはシロウト、売りはチンピラ口調だけ。小宮山厚生労働大臣も官僚の言いなり女。前田武志国土交通大臣は顔が利権屋だ。いや自民党系か。ま、碌な大臣のいない野田政権が三代目民主党政権としての命脈は短いことだけは確実だろう。こんな連中に、歴史的にも未曽有の危機時代をうまく乗り切れるはずがない。むろん、玄葉外相、前原政調会会長、皆、大臣失格の器量しか持ち合わせていないチルドレンだ。政権交代はともかく、民主党の人材不足にもびっくりだ。日本は滅亡か、ガタガタ一直線、まっしぐらだ。これでいいのか、ニッポン。年末につき過激な口調になったが、国民だって暗い年末年始を送らざるを得ないのだから、当然だろう。

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とどまるところを知らない岡留さんの舌鋒…ですが、
それを「そんなことない」と否定できないという事実に、
なんとも暗澹たる思いになります。
まもなく2011年も終わり、ニッポンはどこへ行く?

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岡留安則さんプロフィール

おかどめ やすのり1972年法政大学卒業後、『マスコミ評論』を創刊し編集長となる。1979年3月、月刊誌『噂の真相』を編集発行人として立ち上げて、スキャンダリズム雑誌として独自の地平を切り開いてメディア界で話題を呼ぶ。数々のスクープを世に問うが、2004年3月の25周年記念を機会に黒字のままに異例の休刊。その後、沖縄に居を移しフリーとなる。主な著書に『「噂の真相」25年戦記』(集英社新書)、『武器としてのスキャンダル』(ちくま文庫)ほか多数。 HP「ポスト・噂の真相」

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