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癒しの島・沖縄の深層

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おかどめ やすのり 1972年法政大学卒業後、『マスコミ評論』を創刊し編集長となる。1979年3月、月刊誌『噂の真相』を編集発行人として立ち上げて、スキャンダリズム雑誌として独自の地平を切り開いてメディア界で話題を呼ぶ。数々のスクープを世に問うが、2004年3月の25周年記念を機会に黒字のままに異例の休刊。その後、沖縄に居を移しフリーとなる。主な著書に『「噂の真相」25年戦記』(集英社新書)、『武器としてのスキャンダル』(ちくま文庫)ほか多数。HP「ポスト・噂の真相」

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オカドメノート No.047

小沢秘書逮捕と沖縄基地移設問題

 民主党・小沢代表はなぜ検察に狙い撃ちされたのだろうか。だいたい、国会会期中に政治資金規正法記述違反という通常は形式犯として扱う案件で秘書を逮捕するというのは異例である。だったら、二階俊博経産相や尾身幸次元財務相、森喜朗元総理だって同罪ではないか。そこに、民主党を中心とした野党連立政権が成立することの危機感を持った連中が東京地検特捜部を動かして国策捜査を仕掛けたとの可能性は否定しきれない。小沢秘書逮捕後、検察庁が新たに投入した10数人の検察官が自民党・二階俊博経産相の方の捜査をやっているフシはまったくない。すべて、小沢関係の捜査に振り向けられている。

 そこには、公平な捜査という検察にとっては必要最低限のバランス感覚も働いていない。世論調査では麻生総理を抜いて次の総理NO1候補だった小沢潰しという印象しか受けない。元警察庁長官で漆間官房副長官が、「捜査は自民党には及ばない」とオフレコの記者懇談会で語った一件も、本人の「記憶にない」発言でウヤムヤ状態だが、これも不可解だ。どうせ、否定するなら、「私の体験的感想を述べたまでで、検察当局の情報を得た上での発言ではない」といえばよかったのに、「記憶にない」と言うほうがよほど怪しくないか。

 気になることもある。この秘書逮捕の直前に、小沢代表が「軍事戦略的に米国の極東のプレゼンスは第7艦隊だけで十分」という日米安保の根幹にかかわる重大発言をしていることだ。ヒラリー・クリントン国務大臣が訪日した際、わざわざ野党第一党の小沢代表との会談を希望したものの、その時の小沢発言は米国に対して対等な日米関係を求めるという、これまでの自民党政府では考えられない厳しい姿勢だった。どちらも、反米的と取られかねない対応である。実際、沖縄総領事で、国務省の日本部長の就任が決まっているケビン・メアなどは小沢発言に強く反発していた。

 それだけではない。今回の訪日時にヒラリー・クリントンが締結した「在沖海兵隊のグアム移転に係わる協定」に対して、民主党・岡田克也副代表、どちらかといえば親米的な前原誠司副代表までが否定的な見解を公表している。この二人の「普天間の基地の移設先は辺野古ではなく県外、国外」「パッケージ方式は相容れない」といった発言が、米国は当然のこととしても、防衛省や外務省をいたく刺激した事は確かだろう。むろん、政権交代後の民主党の沖縄政策である「沖縄ビジョン」をつくりあげる母体となった民主党沖縄県連も同じ主張である。基地のない平和な島を願う沖縄県民にとっては、民主党を中心とした政権が出来ることによって日米関係が確実にいい方向に前進するはずだ。とはいっても、沖縄には米軍基地の存在を逆手にとって政府から金を引き出そうという発想の面々もいるから厄介なのだ。その主力母体は政権党の自民・公明党に支えられた県知事や名護市長、地元の財界、建設業界、基地地主といった面々である。

 政権交代が現実味をおびるにつれて、沖縄の基地利権派、防衛省や外務省、沖縄総合事務局などの霞が関官僚や米国政府に危機感が出てくることは十分に予想できる。こうした連中の意を受けた日米の謀略機関の力学が働く可能性も歴史的に見て否定できない。それが今回の小沢民主党の国策捜査の背景にあったと断言する十分な証拠は持ち合わせていないが、民主党を中心とした政権が出来るという事は、戦後の対米従属一辺倒の日米関係の革命的変革に等しいのだ。それだけに、さまざまな予想を超えた日米権力の妨害行為が待ち構えているだろうし、政権交代もそう簡単ではないだろう。我々もそのことだけは知っておいたほうがいいだろうと思う。

国策操作なのか、検察の暴徒なのか? 
未だに操作の意図については、謎につつまれたままの、小沢秘書逮捕問題。
沖縄のかかえる問題から見ると、日米権力による、何か力が働いているのでは、
と思わざるをえない、今回のタイミング。果たして真相は?
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