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癒しの島・沖縄の深層

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おかどめ やすのり 72年法政大学卒業後、『マスコミ評論』を創刊し編集長となる。1979年3月、月刊誌『噂の真相』を編集発行人として立ち上げて、スキャンダリズム雑誌として独自の地平を切り開いてメディア界で話題を呼ぶ。数々のスクープを世に問うが、2004年3月の25周年記念を機会に黒字のままに異例の休刊。その後、沖縄に居を移しフリーとなる。主な著書に『「噂の真相」25年戦記』(集英社新書)、『武器としてのスキャンダル』(ちくま文庫)ほか多数。HP「ポスト・噂の真相」

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オカドメノート No.015

県議会与野党逆転の成果

 沖縄県議会がここに来て、ようやく与野党逆転の成果を発揮し始めた。後期高齢者医療制度の廃止決議に続いて、普天間基地の移設先である辺野古新基地建設の反対決議も野党間で意見が調整されつつある。もし、この決議が通れば、仲井真知事や島袋名護市長の、V字型滑走路をもっと沖合に出して埋め立て面積を増やせという主張だけではなく、建設計画じたいにストップが掛かる可能性も強い。米国が世界各地で展開する軍事基地戦略は、地元に支持、歓迎されない基地は好ましくないので作らないというスタンスのはずだ。地元の沖合への移動要請は住民を騒音や危険性から守るためというのが表向きの理由だが、どう考えても埋め立て面積を増やすことで、より大規模の公共事業にして国からの予算を分捕れという土建業の発想にしか見えない。埋め立て面積が大きければ大きいほど、辺野古やジュゴンの棲む貴重な大浦湾の海と自然環境が破壊され、藻場も消え魚も取れなくなり、一時的な掴みガネ(漁業保証金)をもらっても、取り返しのつかない事態になる。それこそ、地球温暖化対策と逆行する環境悪化につながる愚行だ。一度、失った自然はそう簡単には元に戻らないことを真剣に考えるべきである。

 さらに高江のヘリパッド建設、すでに進行中の泡瀬の埋め立て工事即時中止、新都心の超高層マンション建設もいったん凍結し、再検討するための反対決議を出すべきではないのか。これによって、仲井真知事と多数派が占める県議会が、防衛省や沖縄総合事務局との間で独断的に進めてきた政策が初めて野党側からの批判にさらされることになる。まさしく、与野党が逆転したことで、政策システムの透明化、情報公開が急速に進み、国会や議会の風通しが格段によくなった参議院と共通するプラス面である。

 県議会の動きと直接は関係ないが、本部町豊原区の本部飛行場跡地に建設が計画されていた対潜水艦作戦センター用送信所の建設計画中止が決まった。しかし、地権者が入り組んでおり、跡地利用に関してはいまだ展望はみえていないが、それでも米軍施設建設に「NO!」を突きつけたことは画期的である。こうした動きや県議会の反政府化に危機感を持ったのか、沖縄の米国総領事・ケビンメア氏がブチキレ発言で、顰蹙を買っている。この人物は、日本語が達者で、ことあるごとに、総領事の任務を超えた軍に関する政治的な発言をこれまでも繰り返してきた問題の人物。

 今回は、伊波洋一宜野湾市長が普天間飛行場は米軍内部の安全基準に違反していることを主張し、近々ハワイの米軍司令部に直接交渉に出かける動きがあることに不快感を示したのか、「基地外の建設を制御する安全基準で、逆に滑走路の近くの基地外になぜ、宜野湾市が建設を許しているのかという疑問がある」と定例記者会見で述べたのだ。この普天間飛行場が、市街地にある世界でもっとも危険な基地であることは、前ラムズフェルト国防長官が普天間を視察した折に述べた話は有名だ。そうした事実や、勝手に自分たちで普天間に基地占拠しておいて、こうしたブチキレ発言をしたことに対して「本末転倒だ」という県民の怒りが高まっている。ありていに言えば、居直り強盗の言い分ではないか。このメア氏が、総領にしては分不相応の政治的発言を事あるごとに発しているのは、米国本国の情報機関か、かなりの地位にいる人物の後ろダテがあるからだとの説もあるが、真相は不明。ま、沖縄にとっては、米国本国にとっとと帰って欲しい政府高官の一人ではないか。と書いているところに、メア総領事の公邸に火炎瓶が投げられたというニュースが流れた。うん、気持ちはわかるといったら、日本の共同共謀容疑、もっと人権無視のひどい米国の国家云々テロ法かなんかで狙われたりして。恐い!

辺野古の新基地建設について沖縄県議会は、
反対決議とともに国への意見書提出の準備を進めている、と報じられています。
人々の意思を無視して進められてきたさまざまな政策に、
ストップがかかる契機となるのか。注目しましょう。
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