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平成18年度の予算が成立しました。
私たちの税金からなる国費の使い道、
気になるところでですが、 防衛費と経済協力費について、注目してみました。
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3月27日、参議院本会議で、平成18年度予算が与党の賛成多数により、可決成立した。新規国債の発行を30兆円以下に抑えるために、緊縮予算が採られたが、そのなかで防衛費は前年度比0.9%減の4兆8139億円となった。減ったとはいえ、防衛費は一般歳出の10.4%を占め、社会保障費、公共事業費に次ぐ、第三の支出項目になっている。
一方、経済協力費は前年度比2.5%減って、7218億円となった。日本の防衛費は、経済協力費の実に7倍の規模に達しているのだ。この比率だけをみても、果たしてこれだけ巨額の防衛費が必要なのか疑問だが、政府がどうしても必要だと考えたから、厳しい財政事情のなかでもこれだけの防衛費を確保したのだろう。
太平洋戦争では、日本の国富の4分の1が失われた。もし再び戦争が起きて、同じ程度の被害が生ずると仮定すると、いまの日本の国富は約3000兆円だから、750兆円の被害が生ずるということになる。それを約5兆円の防衛費で守ることができる。防衛費を保険と考えれば、保険料率は想定損害額の0.7%にすぎないから、さほど高い金額ではないと、政府は考えているのかもしれない。
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しかし、そうした考えは、目先の、しかも自国のことしかみていない。確かに、防衛費を使うことで、戦争のリスクを減らすことはできるかもしれない。だが、そのことによって将来のGDPが増えることはまったくない。防衛費は投資ではないからだ。
一方、防衛費の資金を例えば公共事業に回したらどうだろう。道路や橋を作れば、人流や物流が効率化されて、耐用期間を通じてGDPを大きくすることができるのだ。
それでは、防衛費の資金を、経済協力費に使った場合はどうだろうか。その場合、日本の国内経済に直接のプラスの効果はない。しかし、経済協力費で途上国に道路や港湾が作られたとすると、その地域のGDPを、施設の耐用期間を通じて大きくすることができる。しかも途上国の方が日本よりも資本の蓄積が薄いので、日本よりも公共投資の効果は大きいはずだ。だから、世界のレベルでみれば、防衛費に資金を投ずるよりも、経済協力に資金を振り向けたほうが、世界のGDPは増えることになる。
防衛費を使って、自らの力で国を守るのと、経済協力費で世界中に日本の仲間の国を作るのと、どちらが日本の安全を守ることにつながるのかは、一概に結論を出すことはできない。しかし、少なくとも世界のレベルでみれば、経済協力費に資金を振り向けたほうが世界経済の成長のために効果的であることは間違いない。
つまり、防衛費を充実させるのか、経済協力費を充実させるのかというのは、自国だけの短期的利益を考えるのか、世界の利益を考えるのかという視点の差とも言えるのだ。
小泉内閣は経済協力費の大幅な削減を続ける一方で、防衛費の削減をほとんど行わないということは、政府が自国のことしか考えていない何よりの証拠だ。そんなことで、アジア外交がうまく行くはずがないと、私は思う。 |
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今ある改憲派の論調の一つには、 国際協力のために改憲して自衛隊を自衛軍にしようという考え方もあるようですが、 直接的な国際協力に使われる経済協力費は減っていることがわかります。 短期的な利益を考えるだけでなく、 将来それらがどんな影響を与えていくことになるのか。 国費の使い方について、私たちも納税者として、 きちんと知る権利があるのではないでしょうか。
森永さん、ありがとうございました。 |
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