|
|
2月16日に発表されたGDP統計の速報で、四半期別GDPが3期連続のマイナスになりました。日本経済は明らかに景気後退に向かっています。ところが、竹中平蔵経済財政・郵政改革担当大臣は、記者会見で「景気はやや長い踊り場にあるが、大局的にみると回復局面にあるとの見方は変えていない」と述べて、景気対策の必要性を認めませんでした。財政が破綻状況にある現状では、とても財政政策は採れないというのが、政府の認識のようです。実際、来年度予算の公共事業費は前年比3.6%の削減、来年からの定率減税も決まりました。
しかし、本当に財政に余裕はないのでしょうか。平成17年度予算(財務省原案)でみると、防衛関係費は4兆8563億円となっています。公共事業関係費は7兆5310億円ですから、公共事業費のほぼ3分の2の規模をすでに防衛関係費は持っているのです。防衛費は一般歳出の1割を超えています。日本は戦争と軍隊の保有を憲法で否定しながら、莫大な防衛費を使い続けているのです。 |
|
それでは、防衛費と公共事業費は経済的にみて、どのような違いを持っているのでしょうか。財政支出は必ず所得と雇用を創出する効果を持っています。財政を使って、河原で小石を積んでは壊す作業を続けさせるだけでも、働いた人に給料が支払われ、それが経済のなかで循環していくのです。
しかし、 防衛費と公共事業費には決定的な差があります。それは、防衛費を使えば、その年の経済にプラスの効果はあっても、翌年以降の経済には何の影響もないということです。公共事業を行えば、道路にしても、空港にしても、整備された農場にしても、翌年度以降の経済が効率化され、何十年にもわたって、経済を活性化していくのです。
つまり、純粋に経済的に見ても、公共事業費に比べて防衛費を相対的に増額していくといういまの予算構造の変化は、経済の首を絞めていくようなものなのです。
もちろん、防衛費を使うことによって日本の安全保障が確保され、それが経済の基盤を提供しているという考え方はあるでしょう。
一方で、平成17年度予算で 経済協力費は7404億円と、防衛費の7分の1しかありません。 |
|
私は、防衛費を減らして経済協力費を増やして、世界中の人たちに日本に感謝してもらうことによって、日本の仲間を増やし、そのことで日本の安全を守る方が、経済的に見ても効率的だと思うのです。 |