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2011-06-20up

松本哉ののびのび大作戦

第61回:世界平和への道(マジメな人は読まないでください)

 今回こそ香港のことを報告しようと思ったんだが、着々と原発再稼働を進める野田政権を見てるとどうも頭に来る。あの顔を見るだけで腹が立って来て、デジアナ変換で映し出されるブラウン管テレビに向かって湯のみを投げつけてカミサンと大ゲンカになるお父ちゃんもさぞかし多いことだろう。
 …ってことで、今回は特別に、野田政権打倒に向けた恐るべき戦術を紹介してみよう!!!!
 ハッハッハ、野田よ。これ以上、民衆を無視し続けて無謀な権力を行使し続けるのであれば、我々も本気を出さざるを得ない。キミの政治生命はもう終わりだ! 心して読むように(何度も言うけど、マジメな人は決して読まないでください)。

議員会館の野田の部屋のドアに黒板消し

 最も基本的な攻撃として、ドアを開けた時に黒板消しが落ちて来るという、小学生ですら手にしている無力な民衆の強力な手段。もはやこの手口を実行したことがない人はいないというほど日本社会に浸透した反乱だ。この攻撃による精神的打撃は計り知れないものがある。特に、誰もいない議員室に一人で帰って来た時に黒板消しが降って来て頭が真っ白になった時の怒りのやり場がない感じは効果無限大である。あるいは、記者会見の会場に入ってくる時、扉を開けて颯爽と登場した瞬間に黒板消し地獄に陥れるという手もある。ただ、この場合、小学校の教室での教訓からわかるように、粉まみれになった野田首相を見て最初に笑った人が腹いせに「オマエがやったのか!」とぶん殴られるという法則があるので、記者や野田側近のみなさんは要注意で作戦に望んでくれ。

記者会見中に上から金だらい攻撃

 敵も万全を期して黒板消しが挟めないように会見の入口にドアがないという可能性もある。そんなとき、扉だけを設置してもいいんだが(空港の金属探知ゲートみたいなやつ)、壁もないのに突然取って付けたような扉はさすがに怪しすぎるので、それはキケンだ。攻撃が未然に摘発されると、敵は勢いづき「今なら許すから、やった奴は手を挙げろ。それまで今日は全員帰れないからな」といい、正直に手を挙げると予想に反して往復ビンタされるというのも我々の貴重な教訓のはずだ。気をつけよう。
 そんなときは、記者会見中に金だらいを落としてみよう。「国民のために、原発の再稼働を…!」みたいな、最も力んで重要なタイミングで「ゴワ〜ン」と、食らわせれば、マヌケさが増大するので与える打撃は大きい。ただ、これは会見場の天井に張り付いて待っていなければいけないので、単独行動でのアタックは難易度は高い。ただ、どこにでも必ず3〜40代前後のドリフ世代がいるはずだから、彼らなら真意をわかってくれるので必ずや協力してくれるはずだ!
 作戦遂行時のポイントとして記者さんたちにお願いしなければいけないのは、野田の上をチラチラ見たり、野田が空を見上げる風に意気揚々と演説し始めた時に笑ったりしないこと。笑ったらすべてが台無しになる。
 ちなみに、海外ではこの意味が全く分からないので、世界中でこの不可解な事態が話題を呼び、オバマ大統領あたりから「おい、ヨシヒコ。どうした。ナニガオコッテイル?」と緊急電話がかかって来るほどの効果も期待できる。金だらいが落ちて来る連続写真なんかも公表されたりして、これではもはや野田政権の存続は不可能であろう。

下駄箱の靴を隠す

 靴を履こうとしたら片方がない。あるいは、遠くで犬が片方を加えて歩いているのが見えたりしたら、多忙な首相としては非常にテンションが下がる。
 ただ、よくよく考えたら首相は靴を脱いでいないような気もして来た! しまった、これはダメかもしれない。

国会の大臣席のイスに画鋲

 これはヤバい。意外と痛い。飛び上がって驚くはず。ただ、これを記者会見中にやると、突然「ギャー!」と叫んで飛び上がるので、みんな心配になり、さすがに「大丈夫ですか?」とかわいそうになって来る。これじゃ、同情を誘うだけだ。できれば、国会中継などで別の大臣が答弁してる時あたりに、画面の隅っこの方に映ってる感じがベストタイミングだ。謎の官僚や大臣が白熱してウソばかりついてる時とか、自民党が自分のことは棚に上げて偽善者ぶって熱い質問をしてる時なんかに、画面の片隅で小さく映った首相がイスから飛び上がってみたり、中継のカメラにお尻を向けてイスを覗き込んでたり、やたらと周りをキョロキョロし始めたりしていたら、そっちが気になって白熱したロクでもない演説も台無しになっていい。これはすごい。

会見のマイクに電流

 会見その他の時に使うマイクに電流が流れているという手段もある。触った瞬間に、ボーンと、頭がモジャモジャになるようなのは、さすがにケガしそうだし、危険なのでやめよう。ちょっと「あいたっ!」というぐらいにしよう。そうすると、果たしてこれが退陣要求のメッセージなのか、単なる機材の故障なのか判断がつかず、だんだん不安になってくる。気になってしょうがないので、たいていやましいことを言っている会見中は余計シドロモドロになって、悪事が暴露されて来る。これはもう野田政権瓦解の第1歩とも言っていい。

落とし穴に落としてみる

 選挙の地方遊説の時なんかに穴に落ちたら、縁起も悪くていい。手を振りながら悠然と現れた時にスポっと穴に落ちて、首だけ出して「タスケテ〜!」という感じがとてもいい。大打撃である。
 また、商店街なんかを握手して回ってるときにマンホールにスポっとハマって、バットとグローブを持ったガキんちょやおばちゃん達に助け上げられたりしたら、助け合いの重要性に気付いていい政治家に心を入れ替えるかもしれない。
 ただ、落とし穴で死んでしまった事件などもあったので、キケンがないよう、万全の注意を払って安全に落とし穴を掘ってもらいたい。

網ですくって宙吊り

 よく、動物を捕まえる時の罠みたいな感じで、地面に張った網の上に野田が歩いて来たら、フワッと網にかかり宙吊りにするという手もある。これもアベコベの体勢で「タスケテ〜!!」ということになるので破壊力は絶大だ!!

アルカイダに相談

 みんなが反対しても、何万人のデモが起こっても政府が見向きもせず勝手なことばかりやっている。これはどうしたもんか? そんなとき、民衆がワラワラと集まって「世界の反乱っていやあ、アルカイダってえのが鳴らしてるらしい。こうなったら、いっぺん、アルカイダの旦那にでも相談してみるべえ」と寄り合いを開いたりしたらすごい。
 ま、もちろん実際にコンタクトなんか取れっこないんだが、「アルカイダに相談中」というのがテンションが高くていい。ちなみに、万一、実際に連絡が取れたとしても、こっちはすぐ寺に行ってお賽銭入れちゃったり、神輿出して酒飲み始めちゃったりして、神だの仏だの言ってアルカイダからしたら何のことやらサッパリわからなくて相手にもされないとは思う。ま、どうしてもという時は、何となく似ているってことで忍者の格好で交渉してみるのもいいかもしれないが、なかなか前途は多難だ。むしろ逆に、「アルカイダも断った」というハクが付いたら、こりゃもう野田も気が気ではないはずだ。

歩いたらバナナの皮

 車を出たら、第1歩目にバナナの皮。先手必勝である。

カバンから腐ったバナナ

 気付いたらカバンの中にバナナが入ってたというのも、政権崩壊級のダメージに違いない!!!!
 「もう! せっかく大統領にもらった万年筆がバナナくさいじゃないか!」と、原発再稼働したことを後悔するかもしれない!!!!!
 あっ! でも、そういえば首相クラスってカバン持ってなくなかったっけ? さては、秘書の鞄持ちが持ってるかもしれない。う〜ん、そうなって来ると、秘書が大打撃ってことになるのか! その場合、これぐらいのことでボスに報告すると自分のカバン管理ミスということになって怒られるのでなかなか言わない。しかし、10回、15回と攻撃が重なって来たら、いくら鞄持ちの秘書とはいえ隠しきれない。でも、みっともないので、あまり人のいないところで首相に「あのう〜、実は最近カバンにバナナの皮が…」とコッソリ耳打ち! →首相「なんだそれは? よく調べておくように」と、秘書を一喝!! →首相、少し気になる。 →ちょっと打撃。

弁当をかくす もしくは食べる

 日頃の激務をこなしながら、民衆へのウソを隠し通し、自分の立場を守るために立ち回り、首相は大変な労力を使って日々を過ごしている。そんな首相でもホッとするひと時がある。そう、昼ごはんだ。…その弁当がない! これはショックに違いない。ましてや半分ぐらい食べられてしまっていたら、愕然として「誰だ!!!」と叫ぶのも忘れてしまうぐらいだろう。

 さて、このニッチもサッチもいかない世の中に憤慨する皆さん。とりあえず、今回は世にも恐ろしい作戦を紹介してみた。ほとんどの人がバカバカしくなって途中で読むのをやめてしまったであろうが、ここまで読んでしまったキミはすごい! なに考えてんだ!!

 野田首相はみんなが危険視してる原発を「安全になった」などと言って動かそうとするし、石原都知事は「是非を決めるのは君らでないよ」と、のうのうと言ってのけて原発投票に反対してみたり、挙げ句の果てには「感情で左右するのはよくない」みたいなこと言いだしてる。ケッ、一時の感情の左右のかたまりの選挙で選ばれてるクセに…。ともかく、もう完全に民主主義もなくなってるような状況で、無力感を募らせてる人も多いと思う。…かと言って、これまでの日本人のようにずっと我慢してたり、興味がないフリをして「自分はノンポリです〜!」みたいに堂々と言っちゃうのは、今更みっともないのでとても無理。もちろん、人が死んだり車が燃えたりで状況がよくなるほど世の中甘くもない。それに、粗暴なことをやりまくっても、それがなんだか嫌な空気を生んで悪い循環にはまり、あんまりいいことにはならないからやめた方がいい。
 そこで、考えてもみてほしい。記者会見で金だらいが降って来たり、そのまま野田を乗せた記者会見場の地面が動いて演歌歌手が歌い始めたり(わかるよね?)、国会近くの文房具屋で野田が画鋲を買い占めてるのが見つかったり、スポーツ新聞に「ビンラデイン、レンラクサレタシ。ソウダンゴトアリ」という1行広告が載ってたり、首相の弁当を半分食べた共産党が国会で野田に本気で追いかけられてたり、そんなことになったら世界の先進諸国の誰が相手にしてくれるだろうか!?
 「こんなところ面倒見切れねえよ」と、米軍の全面撤退は間違いない。北朝鮮だって「バカバカしすぎてミサイルがもったいない」と、倉庫に片付けちゃうはずだ。本来のんびりした性格の日本人をムリヤリ働かせて来た経団連も慌てて海外に逃げ出すし、勤勉系の日本人もそれについて続々と国外脱出! そう来たらもうこっちのもんで「占領したら大損」とか「触らぬ神に祟りなし」みたいな噂が立ち、とんでもなく楽しい世の中がやって来るかもしれない!!!! そして、それが世界平和への第一歩になるに違いない!!!
 …と、とんでもない理想論を語ってみたが、今の日本、このマヌケな感じを消して来たからこんなにヒドいことになって来ているんだろう。ムダなものや一見役に立たないものこそがいろんなものを生み出しているわけだから、それを否定し始めちゃどうしようもない。東京では石原知事のような説教オヤジがはびこり、大阪では橋下市長のような「しっかりもの」が人気だ。「生活保護費がもったいない」みたいな論調もよく聞くし、経済を停滞させちゃダメみたいな話もよく聞く…。いいの、いいの。経済が多少停滞したって構わないし、働けない人を無理に働かせる必要もないし、ちょっとは価値観変えていかなきゃ、この先どうしようもないよ、ホントに。
 よし、やっぱりここはいよいよ「のびのび大作戦」の本領発揮でマヌケ作戦のスピードアップしかないね! マヌケな諸君! 勤勉は敵だ!!
 次回は香港の報告!!!! 乞うご期待!

【スケジュールです!】

7月16日
10万人規模! 
前代未聞の超巨大反原発デモ!!

代々木公園出発→都内各地へ向けて巨大デモ
さすがにもう頭に来た!! 全員、街に繰り出そう!!

←前へ次へ→

確かにほんとにくだらない! のですが、
「ムダなもの」「役に立たないもの」を排除して、
効率ばかりを追求してきた結果が今の社会、という指摘は、
まったくそのとおり、とも思います。
こんなときだからこそ、
マヌケ全開「のびのび大作戦」の出番! なのかも。

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松本哉さんプロフィール

まつもと・はじめ「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。「素人の乱」公式ホームページ

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