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2010-09-22up

松本哉ののびのび大作戦

第32回:リサイクルショップ拡大作戦! ヤケクソの2店舗同時OPEN!

 いやいや、どうもどうも。前回紹介した「なんとかフェス」が、朝日新聞(9/20)に大きく載っていてびっくりした。いつの間に取材してたんだろ…。
 さて、今週はどんな騒ぎを起こしたかって? 甘い!!! たまには地味にリサイクルショップの話をしてしまおう。イベントやら騒ぎやらデモの話ばかりしてると、真面目にリサイクルショップをやってないんじゃないかと誤解されがちだが、リサイクル屋は本業中の本業! おろそかにもしてられない。世にはびこる大企業連中による無駄な生産に対抗するため、ひたすらモノの再生は続けている。そう、遊びながらとはいえ、週に5~6日、1日13時間も店に出てリサイクル業は続けているのだ(やい! 働きすぎだ!!)。

 で、実は「なんとかフェス」と同時に隠密に進行していたのだが、高円寺南口店と、3駅離れた西荻店を同時に開店しようという新作戦!! 店の回転資金やら買取用の資金やらを総動員して2店舗OPENすることにした!!!

西荻店。例によってボロボロの店を借りたので、改装作業で大わらわ。まずはひたすらペンキを塗る。

 こう言うと、商売がうまくいって拡大路線に出てるような感じもするかもしれないが、なんとこれが正反対! どんどん暖簾分けして、店をやりたい人に独立していってもらうという、むしろ細分化作戦! 店っていうものは自分で直接管理するのは2~3店舗が限界で、それを越えたあたりから目が届かなくなってくるので、結局は責任者(店長)を置かなきゃいけなくなってくる。と、なってくると、その支店に関しては自分はほとんど手を下さずに、人を働かせてその上前をはねるという、ロクでもないボッタクリ企業と同じ構図になってくる。組織を拡大して自分だけ財を蓄えようなんて、そんな料簡の狭いしみったれたことやってたらみっともなくて街も歩けない。それに、店ってすべて自分のセンスでできるから楽しいわけで、自分の思い通りにできない店なんて持っててもなにも面白くない。
 じゃあ、こぢんまりと1~2店舗で続けてりゃいいかっていうと、そうでもない。のさばる悪(無駄な生産とボッタクリの数々)を懲らしめるためにもリサイクル屋は多いほうがいいし、うちの店で働いてるスタッフも「自分も店を持ちたい」という人も多い。それに、今のような競争とボッタクリにまみれた世の中に巻き込まれないでのびのびした生き方をできる人は一人でも増やしていったほうがいい…。
 よし、そうと決まったら暖簾分けだ、暖簾分けだ!!

見よ! なんと外観はこれ! 中華料理屋じゃねえか! どうやったらリサイクル屋になるか、頭を痛めてるところ。

 3年ほど前に隣町の阿佐ヶ谷に1店、1年前にはまた隣町の野方に1店、支店を出したんだが、上のような理由で店を各店長にあげてしまったことがある。これまた景気いいように聞こえると思うが、実はそんな大したことじゃない。せっかくなので、マヌケショップの増殖法も紹介しておこう。みなさんも店に興味のある人はどんどんとんでもない店を増やしてみてくれ。
 まずは、例によって店の回転資金などをつぎ込み、1店出す。で、最初は直営店にして営業を開始して、ある程度お客さんも付いて、軌道に乗ってきたところで独立作戦の開始! お店の全権を店長に渡し、勝手に営業してもらって、毎月収支報告をしてもらう。で、その黒字分を積み立てていって、出店にかかった額に達したら、それを返してもらって、名義もその店長に譲ってしまう! このやり方だと、結局こちらも出店費用は戻ってくるし、各店長も自分で貯金しまくったりしなくていいし、巨額の借金を抱えたりというリスクも負わなくていい。さらには、すでに軌道に乗ってる店なので、そのまま営業していけば商売もなんとかなってしまう!!
 おお、こりゃすごい! 結局、誰も腹を痛めずにマヌケショップが増えてしまう!!

 たいていの職場は金もうけの事ばかり考えている。金もうけが悪いってわけじゃないが、金もうけを追求しすぎるあまり、平気で役に立たない人のクビを切ったり、下手にでてりゃ給料払わなかったりと、ひどい場合はよくある。日本にもちゃんとした、いい会社や勝手にのびのびとやってる個人の店などもたくさんあるが、まだまだ少ない! こうなったら、ひたすらとんでもない職場を作りまくって、ビビらせるしかないね!!

 ちなみに、リサイクル店を2店開くぐらいで驚かれては困る。実は、そのさらに裏でさらに前代未聞の店の出店の準備も着々と進んでいるのだ。続きは次回! 乞うご期待!!!!!

「なんとかフェス」に沖縄から遊びに来たものの、貧乏すぎて片道切符で来たYくんに臨時バイトで手伝ってもらう。彼も沖縄でとんでもないスペース「チャンネルシックス」というのを運営している、大バカ者の一味。

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「組織を拡大して自分だけ財を蓄えようなんて考えない」。
なんとも潔くてかっこいい、経営者としての松本さん。
こうして「のびのび」なお店がどんどん増えれば、
世の中ももっとマヌケに楽しくなる!?
次回の「作戦」にも期待大! です。

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松本哉さんプロフィール

まつもと・はじめ「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。「素人の乱」公式ホームページ

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