戻る<<

松本哉ののびのび大作戦:バックナンバーへ

松本哉ののびのび大作戦

090805up

これまで「高円寺一揆」や、「クリスマス粉砕デモ」など、
数々の脱力系にして最強の「運動」を繰り広げてきたカリスマ店主、
松本哉による待望のコラム連載です。
来るべき世界恐慌には、この作戦で立ち向かえば、怖くない?。

まつもと・はじめ 「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。「素人の乱」公式ホームページ

『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)

※アマゾンにリンクしてます。

第14回「選挙がやってくる!」

 どうやら、また選挙がやってきたようなので、たまには政治にでも目を向けてみよう(こりゃ大変だ!)。
 で、いざ目を向けてみると…。なんだか知らないが、気づいたら「自民公明vs民主党」っていう構図になっていて、もともとバカらしかった選挙がなおさらバカらしくなってきている。もちろん、自民党みたいな貧乏人の敵の集団は一刻も早くこの世から消えてなくなってもらいたいのは山々だが、かといってその対抗馬の民主党がこれまたウサンくさい。元々が、いろんな党の余り者が集まってきた史上最大のノンポリ集団なだけに、とてもじゃないが我々貧乏人の味方のようには見えない。う~ん、これは恐ろしい。
 まあ、そのまま自民党よりは、まだ変わったほうがマシかもって程度かな~。

 そもそも、このロクでもない世の中のおかげでニッチもサッチも行かなくなった連中が、街にあふれかえってるわけだが、そういう感性ってどれぐらいわかってくれてるんだろうか…。政治家がいう経済政策や税金のムダ使いの問題は重要なことなんだろうが、いま世の中が抱える問題はそんなもんじゃない。我々貧乏人にとっては、金もうけのことばかりが尊重されてる社会がとんでもない。
 職場では、効率とか採算なんかばっかりが考えられるから、役立たずはどんどんお払い箱になる。教育もその余波で、役に立つ性能のいい人間作りばっかりが重視されてるから、余分なことが何もできなくなっている。で、街というか生活もそうで、余ったスペースや余分な時間は「全部ムダなもの」っていうことになり、広場や公園から家の中にまで、“金もうけ”やら“消費”やら“スキルアップ”やらが舞い込んできている。平日昼間にウロウロしてたら白い目で見られるし、くだらない夏フェスに遊びに行っても金を巻き上げられるし、ちょっと会社に行ったら、パソコンや語学から場の空気を読むスキルまでが求められるし、ガキんちょだってニンテンドーDSを持ってないと仲間はずれになるぐらいだ。とりあえず、これは窮屈なことこの上ない。
 いまの世の中でもっとも大事なのは、やはり、ムダな場所だったり、ヒマな時間だったり、何の役にも立たない熱意だったり、どうにもこうにもロクでもないことばかりやる奴だったりっていう、文化が生まれる可能性っていうか、言わば世の中の隙だ。なんでもかんでも与えられて、「ここはこう使ってください」とか「こういう方向で生きていってください」みたいな押し付けがましい世の中に、うんざりなのだ。
 政策に失敗して餓死しそうになるのはちょっと困るが、逆に妙に頑張って経済復興なんかをしすぎて、のんびりしたい奴まで働かされたりして、我々の生活が、採算や効率ばかりになるのはまっぴら御免だ。

 そう考えると、今回の選挙にしても、政治全般にしても、やっぱり根本的なところで貧乏人の感性とはちょっと違う気がするね…。やっぱり興味ねえや!! なんか、「国力低下を目指します」みたいな、とんでもないことでも言い出したほうが、よっぽどいいね!! 「そんなに頑張らない経済」とか、「ヒマ人が安心して街をうろつける社会を!」とか、外交政策のポリシーは「まあまあ、そう怒らないで、ことを荒立てるのはやめましょうよ(実は憲法9条って超日本的だった!)」とか、「麻薬は少量の大麻までOK!」とか、「ポイ捨てや落書きは月3回ぐらいまでにしましょう」とか…。まあいいや、とりあえずどうでもいい!!

 と、文句を言いつつも、何を隠そう実はこれまで選挙を棄権したことは一度もない。必ず行ってる。政権が変われば世の中がよくなるとは微塵も思っていないのだが、ロクでもない連中がのさばってるのが腹たってしょうがないから、暴風雨だろうが激しい二日酔いだろうが絶対に行く。大規模なボイコット運動とか起こったらそっちに乗るかもしれないけど、とりあえず反対票を入れに行っている。
 で、さらには自分で選挙に出たこともある!! これはもちろん、議員になるためじゃなく、遊ぶため! どいつもこいつも頑張らなきゃいけないと思っているところへ、ひたすら街の中に遊びを持ち込もうっていう、言ってみれば一種のデモンストレーション。ってことで、選挙期間中は連日、中央線の高円寺駅前でライブやDJの音楽イベントをやったり、芝居や舞踏があったり、トークイベントをやったりと、騒ぎまくってみた。これはどっちかと言うと、ボイコット運動に近かったね…。
 ま、ともかく、「これやっていいよ」と言われるんじゃなく、自分らで勝手にやることが大事だって事だ。

 そんなわけで今年の夏は選挙がやってくるようだが、その夏の期間中、実はとんでもないイベントが目白押しなのだ!! まずは、8月21~24日には仕事もそっちのけで例の長野作戦!! 長野の山でとんでもない祭が行われてしまう。そしてその翌週には、富山市内でサウンドデモ&野外イベント! ややっ! これはすごい! 遊びすぎだ!!! 
 で、最後に思い出したかのように選挙にでも行って、「ざまあみやがれ」的な反対票でも食らわしておこうかと思う。ちなみに、うちの近所の選挙区(杉並区)は、自民党の石原ノブテルっていうロクでもないのがいる。あれを落とさなきゃいけないから、対抗馬の社民党の保坂展人にでも投票しとこうかと思っている。

 自民党の政権落ちも楽しいとは思うが、そればっかりに期待していても後でガッカリする可能性もあるので、政権どうのこうの以前に、勝手な生活や生き方を作ってしまおう!! 
 とりあえずは、政権が倒れたドサクサにまぎれて、貧乏人が生きやすい“隙”を作るしかないぞ!!

●お知らせ
長野大作戦 〜なんとかフェス2009〜
8月21日(金)準備 + 前夜祭18:00ごろスタート!
8月22日(土)昼ごろから深夜まで、音楽、映像、遊戯!
8月23日(日)昼ごろから夕方まで、音楽、映像、遊戯! 
+ 後夜祭
8月24日(月)シークレットイベント(片付け)
出演バンド等はこちら参照↓
http://nantokafes.exblog.jp/

富山イベント&サウンドデモ!
8月29日、 富山市中心に路上解放区が出現!
富山城址公園フリークスミュージックジャンボリーにて。
入場無料!!
LIVE&DJ&路上解放サウンドデモ

 

松本さんの主張に賛成するか、反対するか。
いずれにしても、動かなきゃ何も始まらない、のです。
今年の夏は遊んで、騒いで、そして総選挙へ突入!

ご意見フォームへ

ご意見募集

マガジン9条