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まつざき・きくや 戯作者 1953年、大分県別府市生まれ。劇団民芸の演出家を経て、88年、社会風刺コントグループ「ザ・ニュースペーパー」に参加。99年独立。現在、風刺コントの台本を書きつつ政治風刺ライブを展開中。TBSラジオ荒川強啓デイキャッチ・毎週月曜日の名物コーナー「あの人の独り言」で、権力者になりすます爆笑一人芝居を生放送中。『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでコラムを執筆。著書に『一瞬の沈黙』『巷は勘違いに満ちている』『男が捨てられた夜』(いずれも三五館)、『コメディアン』(実業之日本社)、『松崎菊也のひとり天誅!』(毎日新聞社)など。
「彼自身を私は洗脳する自信はある」と言い放ち、作家兼政治屋・石原東京都知事は、民間からの副知事に作家・猪瀬直樹を登用すると発表した。猪瀬もこれを受けることにしたという。
さて、今週は設問のたて方をあえて変えてみた。言ったことではない、言わなかったことを当ててください。15日に正式に会見を開いた作家・猪瀬直樹が言わなかったことはどれか? つぎのうち一つ。いいですね? 言わなかったことはどれか?
3が一般に信じられている猪瀬らしい発言なのだが、これを言わなかった。(あとの二つは記者会見で発言。16日毎日新聞より)
猪瀬直樹という人間をじっと見ていると、時々刻々と発言を軌道修正する。「ふるさと納税」の旗振り役だったくせに、都知事が反対の急先鋒だが? と聞かれると、「ボクはふるさと納税という言葉は使っていない」と誤魔化す。道路公団民営化の委員では、「無駄な道路は一切作らない!」と言い放っていたのに、何のことはない、軌道修正して「作る」ほうに変えた。彼自身はそういう変節を「まあまあ合格点」などと自己採点して切り抜けた。
強面で売るが、あれはあくまで商売上の顔であり、本来は権力に擦り寄ってゴロゴロと喉を鳴らす変節男にすぎぬ。2の発言などは笑う。役人の作った利権構造をぶっ潰すのではなく、「とにかくぶっ潰す!」が口癖の小泉という権力に擦り寄っただけの姑息な男に過ぎぬ。
わたくしの持論をひとつ。作家とは元来うそつきだからやれる。うそつきが行政のトップになるとしっちゃかめっちゃかをやる。日本語が稚拙で作家としての才能を自他共に買いかぶるやつに限って政治に首を突っ込む。その典型が都知事、2番目が猪瀬。自分のことを悪く言う相手には牙を剥く体質、威張り方までそっくりの作家が東京を食い荒らす。4年後には次の都知事を禅譲されたい、と本心では思っていよう。今は「何も考えていない」なんて知らぬ顔を決め込むが、まあ見てなよ。国土交通大臣になりたくてしようがなかった男だ。都知事に色気がないわけがない。
作家をやりつつ、政府委員を勤め、このうえ東京都の副知事の大役。これみんなこなせるんだト。月3日のご出勤なんてことがないようにしろよな。
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