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雨宮処凛がゆく!

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あまみや・かりん北海道生まれ。愛国パンクバンド「維新赤誠塾」ボーカルなどを経て作家に。自伝『生き地獄天国』(太田出版)のほか、『悪の枢軸を訪ねて』(幻冬舎)、『EXIT』(新潮社)、『すごい生き方』(サンクチュアリ出版)、『バンギャル ア ゴーゴー』(講談社)、『生きさせろ!〜難民化する若者たち〜』(太田出版)など、著書多数。現在は新自由主義の中、生活も職も心も不安定さに晒される人々(プレカリアート)の問題に取り組み、取材、執筆、運動中。非正規雇用を考えるアソシエーション「PAFF」会員、フリーター全般労働組合賛助会員、フリーター問題を考えるNPO「POSSE」会員、心身障害者パフォーマンス集団「こわれ者の祭典」名誉会長、ニート・ひきこもり・不登校のための「小説アカデミー」顧問。「週刊金曜日」「BIG ISSUE」「群像」にてコラム連載。雨宮処凛公式サイト

生きさせろ!
雨宮処凛の闘争ダイアリー

※アマゾンにリンクしてます。

「六十億のプレカリアート」と
「反貧困フェスタ」の巻

最近、『排除の空気に唾を吐け!』を出版。犯罪や事件と貧困や排除の問題について書き、最終的には戦争と貧困に辿りついた1冊。帯の写真が喧嘩売ってます。

 今年もメーデーの準備が着々と進められている。会議を重ねて、担当やテーマ、何をやるかなどが決まっていく。毎年私はデモの実行委員兼「デモコーラー」をやらせてもらっているのだが、今年は前もってある役に立候補した。それは「プレカリアート国際連帯」のための「韓国担当」だ。

 昨年8月に韓国取材に行き、多くの活動家と出会い、それを『怒りのソウル』という1冊にまとめたわけだが、そんな韓国行きで出会えた様々な人たちと日韓連帯インディーズ系メーデーを企んでいるのだ。今のところ4月27日から5月2日まで韓国に滞在する予定だ。で、1日には韓国でデモに参加する予定。20代の人たちによって作られる「希望庁」というNPO(前回取材した)がデモを企画していて、イベントなども一緒にやりたいと思っている。他にも「ペクス連帯」という韓国版・ニートの人々ともいろいろやるつもりだ。また今月は、韓国の経済学者で「88万ウォン世代」という言葉を作ったウ・ソックンさんが来日するので、いろいろ企みたいと思っている。そうして韓国の地で、「新自由主義のもとで日本と韓国と同じことが起き、不安定層、貧困層が増え続けているが、こうして国境を超えて反撃をしている」ことを存分にアピールし、連帯を深めた果てに、韓国から誰か日本のメーデーに来てもらいたいなーと思っている。この辺はまだ詰めていないのだが、とにかく楽しみだ。ちなみに私はハングルができないので、その辺のことを『怒りのソウル』のコーディネーターと通訳でお世話になった藤井たけしさんにいろいろやってもらっている。持つべき者は国境を超えたプレカリネットワークだ。

 さて、東京のメーデーの具体的なこともだんだん決まってきた。まずはサブタイトル。「プレカリアート」を掲げたメーデーは06年の「自由と生存のメーデー プレカリアートの企みのために」が最初だった。その翌年07年は「プレカリアートの反攻」。そして昨年は「プレカリアートは増殖/連結する」。そうして今年のメーデーのサブタイトルは以下だ!

 「自由と生存のメーデー09 六十億のプレカリアート」

 企んだり反攻したり増殖したりしているうちに、六十億にまで増えていたプレカリアート。大きく出たものである。が、考えてみれば、プレカリアートは世界レベルで見ても多数派なのだ。だって世界の人口の65億人のうち、まあ5億人くらいがトンデモない金持ち・権力側の「悪人」で、それ以外の60億人くらいが不安定なプレカリアートなのではないだろうか。そんなことから今年の「自由と生存のメーデー」はこのようなサブタイトルになったのである。このメーデーはこう呼びかける。

—生きることはよい。生存を貶めるな!
—低賃金・長時間労働を撤廃しろ。まともに暮らせる賃金と保障を!
—差別、排除、分断を許すな。やられたままで黙ってはいないぞ!
—殺すことはない。戦争の廃絶を!
—メーデーを抵抗と連帯と創造の日に!

 そうして告知文には以下のような言葉。

 派遣村が大きく報道をされた/深刻な景気や雇用情勢が取りざたされている/政治家や官僚やニュースキャスターは「新自由主義の行き過ぎ」だといっている/誰もが判った様な顔で「セーフティーネットが必要だ」といっている
 だが、たったいま、首を切られたらどうすればいい/寮を、アパートを、追い出されたらどうすればいい/相談できる友や同僚や肉親がいない者がいる/国や自治体などろくな手を打っていないではないか
 働けない私の明日を誰が考えているというのか/働いても競争という綱渡りを強いられるだけではないか/意味のない仕事に意味を見つけ、上司の顔色をうかがい、自分を責めるしかないのか
 そんな日々を終わりにするために、私たちは、あなたに呼びかける
 私たちをだまし、嘲笑し、酷使し、搾取した奴らに反撃しよう/押し潰されそうな誇りと生活を励ましあって取り戻そう/公園やホテルやショッピングモールを開放しよう/街路や山々や渓流は、誰のものでもない、私たちのものだ/金持ちの子に生まれただけで金持ちになれることを許すな/貧しいもの同士が憎しみあい、争いあい、殺しあう世界を終わらせ、パンと薔薇を奪い返そう
 不安定な生を強いられる60億の仲間<プレカリアート>たちの想像/創造はすでに始まっている
 私たちは、あなたに呼びかける
 生きることはよい/まともに暮らすために、全てをよこせ
 さあメーデーをはじめよう
2009年3月5日
自由と生存のメーデー09実行委員会

 自由と生存のメーデーは2日が集会、3日がデモだ。2日の朝に帰国する私はもちろんどっちも参加する。詳しいことはこちらで。

 そして今週末28日には「反貧困フェスタ」だ!

 私は湯浅誠さんとともにメイン企画の「コーディネーター」をする。こちらもぜひ。詳細はこちら。

 更に4月17日には『「生きる」ために反撃するぞ!』の出版記念イベントも開催。外国人研修生や外国人労働者の問題に取り組む労組の方々やおなじみフリーター労組のメンバー、素人の乱の松本さん、そしてライターの鶴見済さんも出演してくれる。

 メーデーは近い。どこかで会おう!

同じく新刊『「生きる」ために反撃するぞ!』では、ロリータちゃんや美容師さんなどの様々な「闘う人」を取材!

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4月17日(金)阿佐ヶ谷ロフトにて!
★ 雨宮処凛『「生きる」ために反撃するぞ!労働&生存で困った時のバイブル』(筑摩書房3月25日発売)出版記念トークイベント
★出演者 
第一部: 雨宮処凛(作家)/鳥井一平(全統一労働組合)/村山敏(神奈川シティユニオン)
第二部: 雨宮処凛/松本哉(素人の乱、『貧乏人の逆襲!』著者)/鶴見済(フリーライター)/QT(フリーター全般労働組合)/ペペ長谷川(だめ連、司会)
★時間 OPEN18:30 /START19:30
★料金 前売1300円/当日1700円
★イベント予約・お問合せ 阿佐ヶ谷ロフト 03-5929-3445

今年も着々と近づいてきたメーデー。

国境を超えたつながりも生まれ、さらに面白いことになりそうです。

この「労働者の祭典」、あなたはどんなふうに迎えますか?

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