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世界から見た今のニッポン

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第44回

 9条を海外からもサポートしたいという韓国のキム・セングク教授から、韓国市民への「韓国9条委員会」設立の呼びかけが届きました。教授は金融、マスコミ、学会などでの活動を経て、現在はNGOピースメーキングの代表を務めています。
 ただ、その数日後、教授はアフガニスタンの武装勢力タリバンに人質解放要求の声明を出さなくてはなりませんでした。23人の韓国人ボランティアスタッフがタリバンに拘束されたのです。代表のペ・ヒョンギュ牧師が殺害されたのがわかったのが7月26日。同月30日現在、事態は打開されておらず、韓国NGOの方々も人質救出のために努力を続けています。

韓国9条委員会宣言(金承國)

金承國(Kim Seung Kuk) 1952年忠清南道生まれ。韓国銀行勤務(1970〜1975年)、崇実大学講師(1987〜1995年)、Han Korek新聞記者(1988〜1993年)等を経て、1995年崇実大学で博士学位(哲学博士)を取得。その後、明治大学客員研究員(1996〜1999年)、ユネスコ研究員等を務める。「反戦反核」「アジアの宗教と平和」など著書や論文多数。近刊に「北朝鮮の核問題」。現在、NGOピースメーキング代表。ソウル在住。

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日本国憲法9条を守るための韓国市民による
「韓国9条委員会」設立の呼びかけ

 「平和憲法」と呼ばれる日本国憲法は1946年11月に公布、1947年5月に施行されました。平和憲法の核となるのは前文と9条であり、とくに後者は戦争を放棄し、軍隊の保持を禁じ、国の交戦権を否認しています。

 この条項はいままで改定されることはありませんでした。

 しかしながら、日本の内閣と政権与党は9条を廃止し、軍事力を増強しようとしています。小泉政権を継いだ安倍政権もまた、平和憲法を捨て、自衛隊を正規軍にしようとしており、改憲派の意向に沿って策定された国民投票法も成立しました。

 東アジアにおける覇権を維持しようとする米国政府は、ますます日本の軍事力に依存するようになっています。日米の軍事同盟の強化、平和憲法の改定、自衛隊の正規軍化、そして軍隊の海外派遣は東アジアをさらに不安定にし、地域の脅威となるでしょう。平和憲法の改定と自衛隊の正規軍化は、朝鮮半島と東アジアの平和を妨げることになります。9条を守り、救おうとすることは、日本国民のみならず、平和を守ろうとする人々にとっての責務なのです。それゆえに、こうした運動は日本に限らず、海外でも支えられなければなりません。韓国の平和運動は、海外の力として、9条を守っていきたいと思います。

 そのために私たちは「日本の平和憲法9条を守るための韓国市民の集い」を組織し、次のような行動を呼びかけます。

1.
私たちは日本の保守派による攻勢、東アジアの覇権を保持するための米国の戦略から、平和憲法を守ろうとする日本の平和運動を支持します。

2.
私たちは日本の軍国主義および軍事力の増強をアジアの人々に対する脅威と考え、日本における強硬な動きに対してアジアの人々との結束を強めます。

3.
戦争および国際紛争の解決のための軍事力の行使を認めない――この精神は、日本だけではなく、全世界において有益なものであると私たちは考えます。そのため、私たちは韓国の保守派によって強化されているナショナリズムや軍国主義への傾斜を食い止め、反戦平和の草の根運動を広げていきます。

2007年7月17日

呼びかけ人
キム・セングク(Kim Seung Kuk)
ジュン・ジョンコン(Jung Jong Kwon)
ノ・セギョク(No Se Geuk)
ハン・セクホ(Han Seok Ho)

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アフガニスタンの韓国人人質の解放と韓国駐留軍の
即時撤退を求める韓国反戦平和運動の声明

1.
7月19日、23人の韓国市民がタリバンにより誘拐・拘束されました。タリバンは、韓国政府がアフガニスタンから自国軍を撤退させ、アフガニスタン政府が収監中の23人のタリバン兵捕虜を解放しなければ、人質を処刑すると脅迫しています。私たちはこの事件に深く心を痛めるとともに、23人が無事帰還することを願ってやみません。

2.
罪なき人々を拘束し、処刑するという脅しは暴力の連鎖を誘発するだけです。韓国国民もアフガニスタンにおける無数の戦争犠牲者への哀悼の気持を抱いており、同じような悲劇によってこれ以上の犠牲者を出すべきではないと思っています。私たちは人質の無事解放を求めます。

3.
私たちは、対テロ世界戦争を展開する米国政府を支持し、その一端を担っている韓国政府を非難します。政府は国民に韓国軍の派遣の目的について、またアフガニスタンの現状について明確な説明をしてきませんでした。私たちは政府に対して、韓国軍の即時撤退を要求します。

4.
今回の事件が米国の対テロ世界戦争による悲劇のひとつであることは明らかです。米国および同国に追従する国による侵略、そして内戦はアフガニスタンの国土を破壊し、国民の生活を荒廃させました。米占領軍に対するタリバンの武力抵抗はエスカレートし、その結果、誘拐とテロが頻発しています。アフガニスタンでの戦争と占領を直ちに停止し、国際社会は冷酷な暴力を根絶するための努力をしなければなりません。

5.
私たちは、外国軍によるアフガニスタンの占領が終わり、アフガニスタン国民自身によって平和が再構築されることを望んでいます。韓国の反戦・平和運動はこの目的のため、一体となって努力してきました。今後も続けるつもりです。そして、国際社会に対しても、努力を惜しむことなく、拘束されている韓国市民の無事の解放に尽力するよう求めます。

2007年7月25日

韓国からの9条サポートの表明。
これからも国を越えたつながりを大切にしたいからこそ、
アフガニスタンで悲劇に襲われた隣人の救出のため、
私たちも声を上げていかなくてはならないと思います。

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