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アメリカ議会からも激しい批判が湧き上がっている「首相の靖国参拝」。
いったい次の首相はどうするつもりなのか?
欧米での評判について、ロンドンでジャーナリストとして活躍した後、
日本に住むクリストファー・リードさんが、コラムを書いてくれました。
第29回
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クリストファー・リード(Christopher Reed)
1938年、ロンドン生まれ。
長年、英国紙「ガーディアン」で仕事をした後、
現在はフリーランスのジャーナリストとして日本に在住。 |
風変わりな参拝
おおむね欧米紙においては、先月、再び靖国神社を訪問した小泉純一郎首相の写真掲載は、英語圏の世界では愉快というよりも若干馬鹿にしたものであった。こういうところにも欧米の日本に対する認識不足がみられる。
小泉首相は、風変わりなヘアスタイルで神官の後ろを大股で歩いている。身に着けているのはフロックコート(アメリカ英語では“スワロウテイル=ツバメの尻尾”)つきのモーニングである。すでに英米の政治家が数十年前に着るのをやめたフォーマルウェアだ。
ここで思わず吹き出してしまうのは、ストライプの入ったスラックスの下に、彼はベッドルームで履くようなスリッパを履いていたことだった。
この東洋の国家元首は靴を忘れたのだろうか? それとも彼は痛風に苦しんでいるのか? だからソフトカーペット用のスリッパを履いているのか?
しかし、欧米における日本人への無知は、日本における欧米スタイルの履物マナーへの無知以上かもしれない。
“自虐的”な日本の政治家
学会やメディアにおける日本ウォッチャーのなかで、日本の変わった習慣について繰り返しなされる質問がある。それは、 “日本人が自らを傷つけたいと思っているのは本当か?”
靖国神社を称えることは、1931年から1945年にかけてアジアで行った攻撃的な帝国主義戦争の過去を二度と繰り返さないためだという。そういった説明がブラウン管から聞こえてくる。
そんな矢先に、テレビでは残酷で血にまみれた日本の捕鯨の様子が映される。そして日本人は、もはやクジラの肉を食べていないことを、テレビは言う。これは、調査捕鯨であると。
しかしクジラの動物愛護に熱心な欧米人にとって、「それはウソでないか」といった疑問がわく。
日本人は、世界から憎まれたがっているのか? そうではないだろう。だが、日本のリーダーたちはそのことに対して気をかけている様子はない。
過去の戦争とそれに対する認識不足が生むネガティブな対日感情は、日本のエンターテイメント・テクノロジー、たとえばビデオゲーム、携帯電話、漫画や映画、ロボットやエレクトリック・ドッグなどに対する賞賛を軽減してしまう。
議論なき右傾化の危険
小泉首相はエルビス・プレスリーが住んでいたグレースランドの自宅ではしゃぎまわり、靖国神社ではモーニングドレスにスリッパを履いていたが、日本にとって危険な政治家は外務大臣の麻生太郎氏だ。
彼は去年の12月、「中国の防衛費の拡大はかなりの脅威だ(ただし、世界第3位の日本の防衛費よりは少ない)」と発言し、中国側から「非常に無責任」と非難を受けたが、彼の父は九州の炭鉱経営者として、太平洋戦争末期、数千人の朝鮮人および連合国の戦争捕虜を、危険で、ときに命にかかわるような奴隷労働をさせていた(編集部注:麻生太郎氏の祖父が創業した「麻生炭鉱」は戦前、九州最大の徴用労働者炭鉱であった)。麻生氏はこの過去をいまだ認めようとしていない。
このことは日本のメディアではあまり言及されないが、外国では広く知られている。ニューヨークタイムズは今年の初め、麻生氏の攻撃性と扇動性に関連させて、日本の軍国主義・植民地主義の時代と戦争犯罪について報道した。
外務大臣の遠慮会釈ない人種差別的かつ右翼的な見解は、アメリカ人、イギリス人、オーストラリア人、そしてもちろん中国人、朝鮮人の日本に対する憤りを呼び覚ます。
最近の日本での世論調査では、中国に対して親しみを感じると答えた日本人は32%と、10年前の50%から大きく下回った。しかし、小泉首相は靖国神社参拝を正当化することによって、中国や韓国に対する挑発を続けた。どうして日本の政治家はそんなことをするのか? 彼らは軍国主義時代の人種差別を捨てていないのだろうか?
おそらくそうではあるまい。そうではなくいまだ議論がなされていないのだ。小泉首相と彼の内閣は、自分たちが助長していることが何も見えていないようである。日本の政治の右傾化は、新しい総理大臣となるだろうネオ・ナショナリスト、安倍晋三氏とともに続くであろう。それによって世界が受ける、日本の政治姿勢の不安や嫌悪はさらに強まり、かわいいスリッパや独特のヘアスタイルによって和らげられることはないだろう。
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独特のブラックな言い回しで、
するどく日本の政治姿勢と方向性について、
批判をしているクリストファー・リードさん。
このままでは、本当に日本は世界で孤立化するのでは、と不安になります。
せめて反対している国民も大勢いることを、知らせていかなければ・・・。
クリストファーさん、ありがとうございました! |
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