韓国では、日本の憲法9条について学校などで教えることはまずありません。それに、韓国で映る「日本」というと、やはり小泉首相や主だった政治家たち。彼らの暴言や靖国参拝などが大きく取り上げられるので、そのイメージの中では、平和憲法というものはほとんど見えてこないのです。
平和運動に関わっている人の間でも、9条への関心はまだそれほど高くはありません。韓国における平和運動の歴史はとても短くて、本格的に行われるようになったのは2003年のイラク派兵の後。平和運動における国際的な連帯という考え方も、まだそれほど広がってはいません。国内でもやらなければいけないことが山ほどあるので、それだけでも精一杯なのです。
ただ、日本との交流が多くなるにつれて、9条への関心が少しずつ高まってきているのも事実。日本の平和運動については、残念な部分ももちろんありますが、一方で刺激を受ける、学ぶ点も多いです。日本の憲法をただ見ているだけではなく、何かをしなければいけないという認識も広がりつつありますね。
さらにいえば、日本の側からも、9条の存在を韓国へ発信するということを考えてほしいと思います。まず、9条の内容について韓国へ直接発信する。そしてそれだけでなく、日本国内でさまざまな平和運動を行って、それが結果的に韓国へ伝わってくるということも必要でしょう。
というのは、韓国人から見ると、日本の政治家などの暴言というのはいわば定期的に繰り返されているので、それを聞くたびに「何で日本ではああいうことを阻止されずに言えるんだろう」と感じるんですね。日本の人たちが彼らをきちんと阻止しようとしているんだということを伝えるのも、とても重要だと思います。
まずは、お互いに関心を持って話し合うこと。日本の中にある平和的な精神が、韓国には伝わっていないんですよね。例えば憲法改定についても、一般の人に聞いてみれば「変えちゃいけない」という人が多いでしょう。そういった声はなかなか伝わってこない。もっと関心と話し合いを持って、それにもとづいてお互いの長所や痛みを共有する、そして理解していくことが重要だと思います。