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当サイト・オープン以来、憲法9条をめぐる問題について
メールを送ってくれているアルネ・ファーイェさん。 今回、小泉首相の靖国参拝や新しい歴史教科書などで摩擦を起こす 日中・日韓関係について意見を述べてくれました。
第12回
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アルネ・ファーイェ(Arne Fahje)
1977年ハンブルク生まれ。大学で日本語と法律を学ぶ。
専門は日本国憲法(9条問題の専門ではありませんが−本人談)。
現在は法律家。 |
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最近の日本に関する出来事について私の考えを述べたいと思います。日本政府が「みどりの日」を「昭和の日」に変える意向をもっているという記事を読みましたが、これが本当であるならば、非常によくないことだと思います。シンボリックな休日に過ぎない「みどりの日」の名称変更は、誤ったシグナルを送ることになってしまうからです。明治天皇は日本の成長にとても重要な役割を果たしました。でも、「明治の日」や「大正の日」はありません。それなのに、どうして「昭和の日」なのでしょうか? これは昭和天皇を偲ぶ方法としても間違っていると思います。
私は「日本が軍隊をもつべきか」という問題について多くの同僚と話をしたのですが、彼らの反応は「どうでもいい」というものでした。
ただ、ほとんどは小泉首相による靖国神社参拝の問題を知っています。そして、なぜ小泉首相が参拝するのか理解できないといいます。私は、原則的に、小泉首相は靖国へ行くべきだと思います。そこには戦争で亡くなった祖先が祀られているからです。ドイツでも首相は国民の追悼式典に参加します。
ただ、問題解決の方法として次の2つが考えられるのではないでしょうか。
ひとつはA級戦犯を靖国神社のリストから外す--分祀すること。もうひとつは、靖国神社を、亡くなった軍人だけでなく「日本のすべての戦争犠牲者」を祀る場所とすることです。
ドイツではナチス、ベルリンの壁、その他戦争と暴力によるすべての犠牲者を追悼する日があります。国民全員が戦争に動員されたわけですから、その方がいいのではないでしょうか。
竹島を巡る日韓の対立はまったく無用なことでした。小泉首相は「(「竹島の日を定める条例」の決議について)知らなかった」と言っているそうですが、島根県議会の与党である自民党の議員連盟が、小泉首相、細田官房長官、あるいは安倍幹事長代理に事前に伝えることなく、「条例」を可決することがありえるのでしょうか?
日韓関係は日本にとって、とても重要だと思います。それをあえて危険に晒すようなことは好ましくありません。
新しい歴史教科書を巡る日本と中国の対立は、私が知る範囲では、その教科書を採用する学校はほとんどないとのことですし、実際にはさほど大きな問題にはならないと思います。
中国政府は、反日デモは自然発生的に行われたと主張しますが、共産党独裁体制で、自発的なデモが行われるとは考えられません。デモ参加者のほとんどは新しい歴史教科書の内容を知らないでしょうし、今後、中国で反日デモが起きた際には、その理由を見極める必要があります。
ただ、もし韓国で反日デモが起きた場合、事態はより深刻です。なぜなら韓国は民主国家であり、率直に過去と向き合うことによって日韓関係を発展させていくことが日本にとって大切だと思うからです。
アジアでは冷戦の遺産がまだ根強く残っています。ヨーロッパでは消滅した共産主義国家が、アジアではまだ多く存在しています。私は、日本が(9条によって)平和を訴えていくべきだと思いますが、同様に中国や韓国がそれをサポートしていけるよう仕向けていくことも重要なのではないでしょうか。
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靖国問題、竹島問題、新しい教科書問題、抗日デモなど、
ドイツでもこれらの問題が、よく知られていることに驚きました。
アジアとの外交は、憲法9条によって
近隣諸国に平和を訴えていくべきだというのがアルネさんの考えです。
ちなみにアルネさんは国立市が大好き。
お気に入りのカフェがあって、来日すると必ず行くとか。
「お会いしたことはありませんが、マガ9の発起人でもある、
素敵な町の市長さん、上原公子さんによろしく」とのメッセージもいただきました。
アルネさん、ありがとうございました! |
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ぜひ、ご意見、ご感想をお寄せください。 |
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