日本国内での動きとしては、確かに嫌な使われ方をしています。しかし、海外では、ぼくが言ったような意味で浸透しつつあります。それは、ヨーロッパでもアジアでも、憲法第9条の由来や第2項については知らなくても、どうやら日本というのは、世界有数の自衛隊は持っていても、それを軍隊とは認識せず、そして、普通の国のようにオペレート(軍事作戦)しない国なんだ、と。 ただね、そのねじれをねじれとして自覚して、そこに自己欺瞞があるから現実に理念を合わすべきだ、というのが改憲派の考えですね。これは、基本的にはアメリカの外圧です。 改憲派に、いまやっと定着してきたことをなぜここで解消するのか、その理由について聞きただすと、結局、自衛隊というのは軍隊じゃないかと。軍隊であるならば9条2項は明確に欺瞞であると。憲法が自己欺瞞を抱えてやっている限り、これが諸悪の根源だと。やっぱり、今の国会の改憲論議は、憲法とは何かを、完全に誤解している、としか言いようがありませんね。
今の改憲への動きが本当は何を意図しているのかがよくわかりました。 次回は、引き続き姜尚中さんに、 これからの国際平和の鍵を握る“東北アジア”のありかた、 そしてその中での日本の役割などについて語っていただきます。 お楽しみに!