最初に思い浮かんだ人は、ジョン・ダワー氏です。彼の有名な著書『敗北を抱きしめて』には、第二次世界大戦を挟んだ日本と日本人の考え方、生き方の在りよう、変化がつぶさに描かれています。この本を読むと彼が、歴史とはどういう普遍的な意味を持つのか、民主主義とはどういうことか、を深く理解し、また示唆されていることがわかるので、そのダワー氏に語ってもらいたいと思いました。 同じような理由で、日高六郎さんの名前が挙がりました。彼は実際に戦争体験者でもありますし、現在は88歳。そしてフランスに住んでいます。日本の動きを長く広い目で見つめてきた人の考えをお聞きしたいと思いました。 そしてダグラス・ラミス氏。彼とは昔からの知り合いですが、それとは関係なく、彼が45年前に海兵隊として沖縄に来て、そして今も沖縄に住んでいる、その沖縄の経験から、語って欲しいと考えました。この3人で基本的な憲法の成り立ちや役割については、押さえることができたと思います。 そして重要なのは、中国、韓国から日本と日本の憲法はどう見られてきたのかということです。アジア近隣諸国にとっての9条の存在は? 改憲問題については? アジアとの関係、日米同盟との関係、それらを抜きにして日本国憲法の成り立ちも、歴史も、改憲問題も、語ることはできません。そこで中国、韓国から4人のインタビューを得ました。出演者の一人、アメリカ人のアジア政治学者、チャールズマン・ジョンソン氏の言葉「武力行使の放棄を誓った第9条こそが、日本のアジア諸国に対する戦後謝罪だった。9条の放棄は謝罪を放棄することになる」は、9条とアジア近隣諸国との関係をよく表していると思います。