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レポートno010
護憲派のための軍事入門   軍事問題については、一般的に護憲派よりも改憲派のほうが詳しく、論争にも強いことが多いようです。そこで、明治大学の山田朗教授が昨年10月に出版した『護憲派のための軍事入門』(花伝社)は、護憲派にとってはまさにうってつけの入門書でした。自衛隊の実態と、海外の軍事情勢をしっかりと見極めたうえで、説得力ある護憲派の議論を組み立てられる山田教授の話を聞くために、映画人九条の会が主催する「護憲派のための軍事講座──自衛隊が《自衛軍》になるとどうなる?」に行って来ました。


    「“現実に合わせて憲法を変えよう”とよく改憲は言います。しかし、その“現実”を分かっていないと、とんでもない原則になってしまいます」という山田教授の言葉で始まった講座は、まず自民党憲法草案の問題点をあげることから始まりました。具体的に「自衛隊」から「自衛軍」に変わることによって、どのような変化が訪れるのか。「自衛軍」への移行に伴い、当然さまざまな法改正も行なわれます。現在の在日米軍のように、司法が直接介入することもできなくなる「聖域」が誕生したり、シビリアンコントロールが効かなくなったりする恐れがあります。

  また、山田教授は、現在の日本の軍事力を冷静に分析。世界的に見て日本の軍事費が突出していることはよく知られた事実ですが(1995年以来世界2〜4位)、その使われ方を見ながら、いかに無駄な使われ方をしているかというところまで切り込んでいきます。一つの例として、日本では冷戦時代に対ソ戦を想定した対潜水艦戦のための戦力が、いまだに異様に多く、その費用も突出していることなどがあげられます。同時に、いかに自衛隊が「自衛」の範疇を超えた軍事力を持ち、またそれを言葉尻で誤魔かしているのかも、よく分かりました。

  最後に、軍縮の実現と平和の創造のために、山田教授からいくつかの提案がありました。その一つは、日本から軍拡の連鎖を断ち切ること。日本の大きな軍事費が、周辺諸国の軍事費の口実になったり、その要因になったりするのを防ぐことから始めようというものです。日本の軍事費が高まれば中国が、中国が高まればインドが、インドが高まればパキスタンが…という終わりなき軍事費の連鎖を、憲法9条の精神を持つ日本から進んで断ち切ろうというものです。

  講演の後、満員(137名=主催者発表)の聴衆から山田教授に対して多くの質問が飛びました。個人的に印象に残ったのは、喧伝されている北朝鮮の脅威についての質問に対して、山田教授が軍事的にその「脅威」を分析し、いかに北朝鮮が日本を攻撃するというシナリオが荒唐無稽なものであるのかを示した話でした。
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近日中に『マガジン9条』では
山田教授にインタビュー予定なので、こうご期待を。
(САМБО)

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